#3 やつが来るまでは日常だった

 真の引きこもりならたとえ強制参加でも、絶対に出席しない。逆説的に言うならば、僕はそこまで偉大な引きこもりじゃない。

 廃校となっていた北花加護中学を目指して、僕は歩いていた。登校である。

 市の北側に位置するその中学を目指すにあたり、僕には様々な障害が用意されていた。久しぶりに外を歩くと、それだけで障害物競争の様相を呈する。

 僕の家は市の南側だったので、まず電車に乗って最寄りの駅まで移動する必要があった。いやはや、たった三年でも技術の発展はめざましい。都市部の路線だけのものと思っていたICカードが、地方にまで進出しているとは思わなかった。タッチせず改札口に通してしまい、大慌てだった。

 幸い人間よりも優秀な機械は、食べてはいけないものを分かっていたみたいだけど。

 駅を降りた僕は、少し遠回りで北花加護中学を目指した。北花加護中学を目指すルートは、ふたつ用意されていた。ひとつは今僕が使用しているルートで、三十分弱の時間を要する。

 学校らしい建物が見えてきた。校門には『入学式』と書かれた看板も見えるが、僕は無視して歩き続ける。ああ、今日は全国的に入学式なのか、くらいしか思わない。

 今見えた建物は、北花加護中学ではない。花加護中学だ。ややこしい。

 後で根廻さんに聞いたところ、元々この地域にあったのはこの花加護中学だけだったらしい。花加護中学と北花加護中学は歩いて十分ほどの近距離に位置する。近すぎる。確かに何らかの理由で、後からどちらかが建てられたと見るのが正しそうだ。

 根廻さんいわく、生徒数の増加が原因だったらしいのだ。花加護中学で抱えるには生徒数が増えすぎて、北花加護中学を建てて生徒を半分にしたとか。それが生徒数の減少に伴って、元通り花加護中学だけに落ち着いたということか。

 花加護中学は、北花加護中学よりやや新しそうだった。たぶん、一本化する際に建て直しもしているのだろう。

 平日、しかも入学式の日に私服で歩いている僕を見て、通り過ぎる花加護中学の生徒たちは少し不審な顔をしていた。校門の近くに立っていた教師と思われる男性にも不審がられたけど、特に声はかけられなかった。

 きっと、僕が鞄につけていた赤いペンギンのキーホルダーが目に入ったからだ。これは根廻さんが、絶対につけろと言って渡してきたものだ。

 プログラムの参加生徒たちには、今通り過ぎている花加護中学の生徒のような制服が指定されていない。これは根廻さんも言っていたように、参加生徒の年齢や住んでいる地域に多少のバラつきがあるからだ。制服を用意するよりは、各自で用意した私服で登校する方が都合が良いということだ。

 そうなると当然、平日でも私服でうろつくことになる。中学生くらいの年代の子供が平日に私服で歩くと補導の対象になるので、更生プログラムの参加生徒であることを示す物が必要になる。それがこの、キーホルダーなのだとか。

 だからさっきの男性は、僕を見ても何も声を掛けなかった。赤いペンギンのキーホルダーを見て、僕が更生プログラムの参加生徒であることを知ったのだ。

 そうそう。駅から北花加護中学を目指すルートがふたつあるという話だった。もうひとつのルートは、全国的に名門と言われている花園高校の近くを通るルートだ。こっちのルートを使うと、十分たらずで中学に着く。

 でも使わない。長い引きこもりで鈍った体をほぐしたいというのもあるし、花園高校に近づきたくないというのもあった。どうにも花園高校には、近づきがたかった。

 別に名門の雰囲気に気後れしているとか、そういうのは無いけど。

 三十分の道のりをゆっくり歩いて、北花加護中学に着く。久しぶりのウォーキングは、いささか体にこたえた。息が少し上がる。

 以前に見た西側の正門から、中学の敷地内に入った。近くに植わっていた木は桜ではないらしく、緑の葉をつけて澄ましていた。

 まっすぐ奥へ伸びる校舎に沿って、舗装された道が続いていた。道は校舎と木の列に挟まれながら、昇降口まで続いている。見たところ、昇降口は3つあるらしい。順に西側、中央、東側昇降口とでも言うのだろうか。僕は正門に入ってすぐに目に付いた西側昇降口へと向かった。そこに看板があったからだ。

 『プログラム参加生徒はここで靴を脱ぎ、目の前の教室へ』。そう書かれていた。

 指示通りに靴を脱いで、指定された番号の場所へ靴を入れた。靴入れはひとつひとつ間仕切りと扉のついたロッカーのような構造をしていて、少し目新しい。昔通っていた小学校の靴入れはただの棚だった。

 僕の名簿番号は四番だったので、大人しく四と数字の書かれた場所へ靴を入れる。『い』から苗字が始まるだけあって、小学生のころから名簿番号は早かった。『あ』から苗字が始まる生徒が同じクラスにいなくて、一番だったことも多い。

 それを思えば、四番は僕の記憶でも遅い方だ。初っ端から教室の前なのが嫌だったから、これは助かる。教室の前って、黒板が見にくいから。目が悪い人はよく前の席に行くけど、黒板全体が見づらいから僕は後ろの方が好きだ。別に目も悪くないし。

 さっさと教室へ向かう。以前に校舎を外から見たときに三階建てだということは分かりきっていたけど、わざわざ教室を三階にするような真似はしないらしい。昇降口の目の前にある教室に、人の気配がする。

 扉の上に掲げられたプレートを見ると、『赤ペン教室』と書かれていた。一流の冗談のつもりなのか。あまり笑えない。

 そういえば、根廻さんは参加生徒の数を三十人弱と言っていた。それは一クラス程度の人数なわけだ。複数の教室を使う理由は無いし、この教室に全員が入るとみて間違いなさそうだ。そうなるとこの教室を『一組』とか『白組』とか『A組』とか表現するのも変な話だ。『赤ペン教室』というネーミングはプログラムの参加生徒が目印として持つ赤いペンギンのキーホルダーから取ったのだろうが、存外理にかなっているのかもしれない。

 目の前の扉を無視して、ひとつ奥の扉から入ることにした。教室の後ろから入りたかった。特にどうしてそうしたか、理由は無い。

 扉を横へスライドさせて、一歩を踏み出した。もう言うまでもなく教室に入るのも三年ぶりだけど、特に感慨は無かった。あえて言えば、変な胸騒ぎをまたしても感じたくらいだ。

 そのが、僕にとっては少々厄介な問題なのだけど。

 教室は、非常に一般的な造りだった。もっとも、元が廃校になった公立中学なので、ここに変な改造を期待する意味はない。机は縦が六列、横に六列並んでいた。ただし、窓側の一列だけ、机は三脚しか並んでいない。えーっと、つまりこのクラスの生徒数は三十三人か。机に余りや不足が無い限りは。

 既に教室には、かなりの人数がいた。僕は遅い部類らしい。集合時間は八時四十五分で今は八時三十分だから、遅刻ではない。

 それにしても驚くのは、まずここにいる全員が不登校を決め込んでいたはずだということだ。とても不登校だったとは思えない、驚異の出席率だった。それぞれ不登校だった理由も違うだろう生徒をこうして出席させている時点で、このプログラムの本気度がうかがえる。プログラムの裏で働く、根廻さんのような人たちの度量も。

 そしてもうひとつ驚いたのは、全員の年齢がバラバラだということだ。事前に説明は受けていたけど、実際に目の当たりにすると奇妙な光景だった。あきらかに小学生らしいのも何人か交じってるし。

 戸惑いを覚えつつも、立ちっぱなしでは極まりが悪いので自分の席へ急ぐ。僕の席は廊下側一列目の、前から四つ目。これは説明するまでもなく名簿順だ。既に僕の前と後ろ、三番と五番の生徒は座っていた。隣の、十番の席には誰もいない。

 三番の生徒は、前に座る女子生徒と何やら歓談をしていた。人懐っこい笑みを浮かべた男子生徒だ。人当たりが良さそうというか、悩みがあまり無さそうに見える。あんなやつでも不登校になるのか。

 一方、五番の生徒は女子だった。暇そうに雑誌をペラペラ捲っている。その雑誌が以前、僕が根廻さんに渡されたのと同じ雑誌だと気付くのにさほど時間がかからな…………ん? っていうことはあの雑誌、月刊誌だったのか? ああいう雑誌は週刊誌だと決めてかかっていたから、少し意外だ。

 席に着くと、早速前に座っていた生徒が体をこちらに向けてきた。その時になって初めて、彼の着ているパーカーに大量のピンバッジが付いてるのに気付いた。なんだこれ。

「よお。見ない顔だな」

「なにせ不登校なものでね」

「奇遇だな。俺もだ」

「奇遇なものか」

 何となく、こいつの性格が分かる気がする。

「俺は五百蔵いおろい武ってんだ。お前は?」

「僕は九無花果だ」

 五百蔵くんは珍しい名前だなーと笑った。人のこと言えないくせに。

「つうか、結構このクラス変わった名前のやつ多いよなー」

「そんなに多いの?」

「ああ。なあ、紅葉!」

 五百蔵くんは僕の後ろに向かって呼びかける。僕が振り返って後ろを確認するのと、彼女が雑誌からこちらに視線を移すのは同時だった。茶色くて全体的にふわふわした髪が揺れる。髪は何やら英語が書かれたリボンで結ばれていた。

「そうそう、多いよね。変な名前の人。あっと、あたしは鴨脚いちょう紅葉っていうんだ。あんたは、九くんでいいんだよね?」

「鴨脚…………?」

「うん。植物の銀杏じゃなくて、鴨の脚って書いて鴨脚って読むんだよ。九くんは、漢数字の九で合ってるよね?」

 彼女は自信たっぷりにそう言った。実際、正解だ。『いちじく』と聞いて果物の『無花果』は出てきても、変わり種苗字の『九』が出てくる人はまずいない。かなり物知りなのか?

「よく分かったな」

「だって、牧原無理ちゃんの本名の苗字が『九』だもんね! 知ってるに決まってるよ!」

「…………へえ?」

 同意しようとしたけど、やっぱり同意しきれなかった。誰だよ、その牧原無理って。

「あれ? 知らない?」

「知らない」

「………………っ!」

 今、鴨脚さんに人以外の何かを見る目で見られた気がする。たぶん、ミジンコあたりを見る目と同じだった気がする。

 気のせいだといいなー。

「あの『No’s』の牧原無理だよ!? 知らない? え、ちょ、普段何してる人なの九くんって! 海外に住んでた?」

「いや、国内でのんびり引きこもってたけど…………」

「じゃあインターネットとかで見たことない? 『No’s』の名前くらいなら聞いたことあるよね!?」

「いや、インターネットは……」

 してない。だから僕は本当なら引きこもりと表現するのもおこがましいのだ。引きこもっている間もインターネットで動き回る高尚な引きこもりと違い、僕は何もせずダラダラしていたのだから。

「無花果、こいつはな…………」

 さすがに見ていられなくなったのか、五百蔵くんからの助け舟が出港した。

「紅葉はその『No’s』ってアイドルの追っかけをしていたらしいんだ。『No’s』ってのは一年くらい前から活動をしている三人組のアイドルグループで、牧原無理がそのひとりだ。当然、牧原無理っていうのは芸名で、本名が九だから紅葉は無花果の苗字が漢数字の『九』だって分かったんだな」

「ああ、そういうこと」

 やっと話が繋がった気がする。

「そういえば、つい最近雑誌で見たよ。『No’s』の杉下無闇にインタビューとか」

 根廻さんが渡してきた例の雑誌に。

「そんなに有名なんだ」

「ま、アイドルに興味の無いやつでも名前は聞いたことがあるってくらい有名だからな。無花果みたいに知らないのはそうとう珍しいんだ」

「いやー、あたし驚いちゃって…………」

 そんなに驚くべきことだろうか。このクラスの全員が(元)不登校なのだから、僕みたいに知らない人が他にもいたって不思議はない。

「ちなみに、あたしが読んでたのがまさにそのインタビュー。無闇ちゃんは『No’s』のリーダーで最年長なんだよ」

「ふうん」

 残念ながら興味はない。その雑誌だって、日付の確認に使っただけだ。中身はほとんど読んでいない。

「あ、でも、九くんって本当に海外生活したことない?」

 やけにそこを気にする鴨脚さんだった。僕の目を見て尋ねてくる。

「ないよ」

「じゃあ、ハーフとか?」

「やたら滅多に海外との繋がりを知りたがるな。まあ、もしかしたらクウォーターかもしれないってだけだけど」

「へえ、やっぱその目ってカラコンじゃないんだ」

 目。鴨脚さんが僕の目を見ていた理由は、別に僕と熱烈に視線を交わしたかったからではない。たんに僕の目に興味を示したからだ。

 人には誰しも、初対面の相手に必ず聞かれることがあるはずだ。名前があまりにも珍しい人なんかは特に同意してくれると思う。

 僕が初対面の相手に必ずと言っていいほど聞かれることは、目についてだった。名前ではなく、目だ。

「カラコン? 何言ってんだお前ら」

 気になったのか五百蔵くんが席を立って、僕の顔を覗き込んだ。僕の目を見て、僅かに五百蔵くんは目を見開いた。

「青いな」

 五百蔵くんは僕の性格の未熟さを指摘しているのではない。僕の目を、そのまま表現したに過ぎない。

 僕の目は、生まれつき青かった。だから何か特別な力がこの目に宿っているとかは無くて、単純に青いだけだ。理由はよく分からない。だから僕は根廻さんに対して「たぶんクウォーター」と言った。目だけに外国人の血が遺伝するのかどうか、詳しいところは知らない。

 けっこうカラコンと間違われるから、たまに厄介なんだよ。

「生まれつきこうだかね。僕としては、どうしてこうなったのか分からないけど」

「変わったこともあるもんだな」

 五百蔵くんが席に着きながらぼそりと呟いた。僕も五百蔵くんの行動に合わせて正面を向いて座り直す。正面黒板の上に掛かっている時計を見ると、もうそろそろ予定の四十五分になりそうだった。あと一分くらいか。

 その時、後ろから扉の開く音がした。

 五百蔵くんは音に反応して、後ろを振り返った。音に反応して音のした方向を見るのは人間の本能に基づいた行動だとどこかで聞いたことがある。外敵から身を守るために、音の出所を反射的に確認するのだとか。

 僕はあえて振り返らない。外敵も何もこの時間に扉を開いてやって来るのは生徒か教師のどちらかだ。それがほとんど確実にも関わらず後ろを振り返るのが少し馬鹿らしかった。

 それに、こういう時はみんなが後ろを振り返るので、入ってきた人が変な注目を浴びてしまうのだ。それを少しでも軽減するための、無駄な処置のつもりだ。

 しかしこの時は、少し事情が違った。前にいる五百蔵くんが、なかなか正面に向き直らない。釘付け。その表現がピッタリ当てはまりそうだ。

 なんだろう。ゴーゴンでも見てしまったのだろうか。

 五百蔵くんはどちらかと言うとリアクションが過剰になるタイプの人間だと思うけど、それでも少しオーバー過ぎる。こうなると気になって、おそるおそる後ろを振り返った。

 まず目に入ったのが、茶髪。ただしこれは入ってきた人物の髪じゃない。後ろにいる鴨脚さんの髪だ。ピントを合わせるべき人物を間違えた。

 そんな鴨脚さんも五百蔵くんと同様に、後ろを振り返ったまま固定されていた。どうした? まるで僕が時間を止めてしまったみたいじゃないか。

 鴨脚さんを避けて、後ろを見る。そうしてやっと、入ってきた人物の姿を目にすることができた。

 まず最初に飛び込んできたのは、長く伸びた綺麗な、金色に輝く髪だった。腰まで伸びてるか? 僕は女じゃないしそこまで髪を伸ばした経験はないけど、あそこまで綺麗に髪を伸ばすのは相当難しそうだった。

 そして次に、白い肌が目に入る。たぶんあの肌は、日本人の白さじゃない。金色の髪と合わせて、その人に少なくとも二分の一以上の外国人の遺伝子を見つけることができた。

 最後に、目だ。

 青い目が、冷たく僕を見据えていた。

 なんて温度差だ、僕の目とは。同じ青い目でも、ここまで違うのか。

 そうしてようやく、それぞれの特徴が頭の中で重なっていく。パズルみたいに組み合わさって、ひとりの『彼女』としてやっと把握することができた。

 教室の後ろから、ひとりの女子が入ってきた。これだけの事実を理解するのに、どうしてここまで時間がかかるんだ。見ると、鴨脚さんや五百蔵くんはまだ理解しきって――もとい、事実が組み合わさっていないようだ。僕が振り返った直後と同様に、固まったままだった。

 その女子生徒は、こちらへ向かって歩いてくる。気になって周りを見ると、そこ以外の席がいつの間にか埋まっている。つまり、最後の生徒か。ていうか、生徒なのか。

 とても同年代には見えない。とても同じ人間には思えない。

 自分に一体どれだけの視線が集まっているか、彼女はそれを理解しているのだろうか。あるいは、理解した上で気にしていないのか、彼女は顔色ひとつ変えず眉ひとつ動かさず、僕の隣に座った。

「………………」

 途端に、周辺の空気が変わった気がした。本当に今僕が座っている席は、つい数十秒前まで僕の座っていた席なのか。それすら怪しい。

 そしてチャイムが鳴り響いた。その音が一気に、僕たちを現実へ引き戻した。日常、と言った方がしっくりくるくらいだ。それくらい彼女の存在は、変わっていた。固まっていた五百蔵くんも、恐々と正面に向き直った。

「まだ分からない?」

 声がした。水の上を走るような、小さくも心の底まで届く声だ。それは間違いなく、僕の隣から聞こえる。

「まだ分からない? 無花果くん」

「な、ん………………?」

 何で僕の名前を知っている? それはほんの二文字しか、言葉にならない。

 再び僕は、引き込まれていた。隣に座る彼女の、冷たさに。

「これから始まるのは、異常」

 教室の前の方から、音がする。扉の開く音だ。今度は理屈をこねることなく、その方向を見た。隣から流れてくる冷気から、半ば逃れたかった。

 彼女の発する冷気は、まるで『謎』が気体になったみたいだった。僕の器量には、とてもじゃないが収まりきらない。

 チャイムが鳴って、その後に教室の前から入ってくる。教室の席はすべて埋まっている。このふたつからして、入ってくる人物はひとりしかいない。担任だ。

 さてどんな先生なのやら。僕が今まさに切り合いをしてるに等しい緊張感の中を泳いでいることなどお構いなしに、教室中に期待や好奇心が漂う。その中には不安とか焦燥とかもあったのかもしれないけど、ただならぬ現状の僕にはそれを全て感知する余裕はない。

 かくして入ってきたのは、赤いペンギンの着ぐるみだった。

 僕が風呂と歯磨きを終わらせた時までは、日常だった。

 食糧調達を始めたころから、非日常が襲ってきた。

 意を決して登校したら、異常が待ち構えていた。

 今はただ、僕の学校生活がそれだけの物語であることを祈るだけだった。

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