「影夜」
「今回の任務だ。失敗は許されない」
「内山組組長の抹殺、ヤクザじゃん、これ大丈夫なの?」
「上からの命令だ。何も気にすることはない」
「了解、報酬はちゃんと用意しておいてくださいよー」
渡された資料をポケットの中に雑に突っ込むとその場を立ち去る。夕方で人通りはそこまで無い河川敷、私は一人の男と会っていた。会っていたというよりは一言二言のやり取りだけだ。余計なおしゃべりはしないのは基本。
その数時間後、つまりはその日の夜。
「なんやお前さん、わしらの若いもんはどうしたんや!」
私の目の前には額に汗を滲ませ刃物をこちらに向けた壮年の男。私は懐から拳銃を出し男に銃口を向けた。
「お、おい、やめえや、話し合えば」
銃口から乾いた音がして、男は眉間から血を吹き出しそのまま何も言うことなく膝から崩れ落ちた。
「任務、完了」
「相変わらずのお手並みですね」
部屋の出入り口で壁に寄りかかって一部始終を見ていた女の子。私より年下で悪趣味な骸骨のヘアピンがトレードマークの小生意気な、私の弟子だ。
「楓、表は?」
「制圧は終わっていますよ、後はこの場を離れるだけです」
「なら行くよ、長居は無用」
私と楓は音もなく、誰にも見つかることなく闇夜に紛れるようにその場から退散した。
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