第8話 ニーニの真実 (ケザキ)

思考の先読みか...

戦闘に役立つとは思うのだが、魔法が使えない今思考が先読みできるだけではどうしようもないな。


「ナタスさまっ、ナタスさまってばぁ!」


ニーニが俺様の名前を読んだ。


「ナタスさま、こっちに来てくれますか?」


ニーニに誘導され、誰もよりつかなさそうな場所まで移動した。


「俺様に何の用だ」


ニーニが突然光に包まれ、そこに現れたのはなんとウサロフだった、

俺様は目の前で何が起きているのか理解するのに少々時間を要した。


「なぜお前がここにいる!ニーニはどこに行ったんだ⁉︎」


ウサロフが大笑いをし、衝撃の事実を話してくれた。


「実はですね、ナタス様のお役に立つためにどうすればいいかなぁ、と考えていた時に気がついたんですよ。この姿だと番人と戦えない。だったら、この姿をなんとかできれば、ナタス様と一緒に番人とも戦えるし、冒険もできる。ってね!」


ニコニコしながらウサロフはこちらを見ている。


「そうだ、ウサロフよ。最近思考の先読みができるようになったんだが、俺様がお前に思考の先読みをできるように特訓してやる。」


俺様は、順を追って説明することにした。


「まず初めにだが、俺様は杖を取られてしまった。番人と戦った時に魔法を使用してしまったからな。しかも、動きが早すぎて、てんでダメだった。

番人は一人じゃないんだな。」


「そうしましたら、私が戦った曜日に行きましょう

水の列は私が行った番人がいると思いますので、その曜日に行くとしましょう。」


「そうだな、獣を召喚するやつだよな?」


「そうですね、動きを避けきることができれば怖い相手ではないです。」

困った顔をしながらウサロフが言った。


「さて、思考の先読みについてだが、俺様が相手になるから全力でかかってくるといい、俺様と戦って経験を積めば、思考の先読みができるようになるかもしれない。」


それから、5時間練習した。


「さて.... 今からこの石を投げるから見事に避け切れればいい。全部で5発だ」


ウサロフは自信ありげの顔で頷く


「さぁ、早く投げて来てください、ちゃんと5発避け切ってみせます!」



1発目、俺様は弧を描くように投げた、その後ウサロフが避けるであろう位置に2発目を投げ込んだ。


「これくらいは余裕ですよ。」


ウサロフはそう言い、見事にギリギリのところで避け切った。


3発目、4発目と順調にウサロフは石を避けてみせた。


「これでラストだ。最後の1発行くぞ!」



俺様が投げた石は、ウサロフに向かって行く途中で2つに分かれ片方の石がウサロフに命中した。



「いったああああああああぁぁぁぁぁぁぁ、でも........なんか気持ちいぃ?



てか、ナタス様右に投げるとか考えてたくせに、2つに分裂する石使うとか卑怯じゃないですか?」


そう、俺様が投げた最後の1発はあらかじめ半分に割った石を準備しておき、意識的に一つの石として認識するまで、自己暗示を強めておいたものであった。



「ナタスどこぉ?どこにいるのかしらぁ?」


カマーが俺を探している声が聞こえた。


「やばっ、ウサロフ早くニーニの姿に戻れ!カマーに見つかったら面倒くさい事になるから!」


俺様は慌ててウサロフに命令した。




「えー、結構エネルギー使うんですよぉ?いや、ナタス様がどうしてもって言うなら、考えてもいいんですけど?」


「ウサロフ、なんかお前面倒くさい性格になってないか......?あとでなんでもしてやるから、早くニーニの姿に戻れ。」



ウサロフは満足げな顔でニーニの姿に戻った。


「ナタスさま、今なんでもって言いましたよね?忘れないでくださいね♪」


先が思いやられる......果たして、ウサロフとうまくやっていけるのか?



「ナタスがいなくなったから色々探したのよぉ!勝手にどこかへ行っちゃうんだもの、監視役としてついてるのにぃ、次は勝手にどこかへ行くのはやめてほしいわ!」



カマーに連れられ、俺たちは宿に帰る事にした。





宿に帰る道中、ニーニはずっとこっちを見てニコニコしている。


「なぁ、ニーニ俺の顔に何かついているのか?」


「なんにもついてないですよぉ〜」


「あらぁ?急にナタスとニーニちゃん仲良くなってなぁい?何があったのか気になるわねぇ?まぁ、深くは聞かない事にするわ。」


会話の最中にニーニが俺様の背中をつんつんして来た。


『どうした?』


俺様は意思伝達でニーニに聞いた


『あの.....言いにくいんですけど、ナタスさまに渡したあの鎌は、魔力を抑制するように色々、細工をしてあったんですよねぇ。』


ニーニは申し訳なさそうな顔をしている。


『なるほど、魔法を使用した時のあの違和感は、そのせいであったか。』


まぁ、魔法の力が抑制されていなくても、カマーに勝てていたか、定かではないよな...


ニーニは少し頬を赤らめながら

『あとあと、防具と............この姿に似合う可愛い洋服が欲しかったり.......するんですよねぇ、さっき言ってましたよね、【なんでもするから】って』


『いや、防具はわかるけどさ、洋服ってさ......

お前が一人で行けば良くない?なんで俺様が一緒に可愛い洋服を探しに行くんだよ。』


俺様は少々キツめに突き放す感じでニーニに伝えた


『別にいいじゃないですか、ナタスさまのお気に入りになりたいんですから....』


ニーニは今にも泣き出しそうになっていた。


『わかった、わかったから!じゃあ後で行こう、どこかいい店は知っているのか?』





「カマーよ、後で買い物に行こうと思うのだが、時間を貰ってもいいか?」


俺様はカマーに問いかけた。


「別にいいわよぉ?ニーニちゃんの洋服でも買いに行くのかしらぁ?いいわねぇ、確かにニーニちゃんの格好女の子って言うより、男の人みたいよねぇ。もしかして.........」



まさか、ニーニが変化した姿ってことがバレたのか!!


「ニーニちゃんって男装するのが趣味なのかしらねぇ」


俺様は肩の力が抜けた、良かったバレてなかったっぽいな。


「イヤですねぇカマーさん、男装なんて趣味ないですよぉ、服がこれしかなかったんです」


なんだなんだ、その不思議な受け答えは、下手にもほどがあるだろうが。



「あらそうなのぉ、じゃあナタスと一緒に可愛い洋服見て来た方がいいわね、いいわよ許可してあげるわ」


「そしたら番人と戦い、もし番人に勝つことができたら防具と洋服を買いに行くとしよう。それでいいな?ニーニよ」


ニーニは今まで見せてきた笑顔より、数倍明るい笑顔を見せて来た。


「やったぁ!じゃあじゃあ、今すぐにでも戦いに行きましょうよぉ♪早く行きましょう♪今のナタスさまなら簡単に番人を倒せると思いますよ♪」



『おいっ、カマーの前ではナタス様って呼ぶのやめろ、色々面倒くさい事になるだろうが!』


俺様はニーニに意思伝達で伝えた。カマーからしたら、俺様とニーニの接点がないと思っているはずだしな。



『えーじゃあ、なんて呼べばいいんですかぁ?』


『勝手にしろ、好きな呼び方で構わん』



『じゃあ本当に勝手に呼ばせてもらいますよ?これから【なっちゃん】って呼びますね♪これからよろしくです、なっちゃん♪』


ニーニがめっちゃニコニコしてる、今めちゃくちゃ機嫌良さそうだな、まぁ機嫌が悪いよりはいいよな、こいつ機嫌悪いと何するかわからないしな。



「カマーよ、今から番人のところに行って試験をしたいんだが、準備はできてるのか?今回は、ニーニと一緒に試験を受けさせてもらうが問題はないか?」



「試験はいつでも準備オッケーよ、おはようからおやすみまで常に準備はできてるわ。じゃあ向かいましょ、試験官には伝えとくわ。あと、ニーニちゃん同伴の件は、問題ないわね」



俺様とニーニは試験会場まで向かった

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