森の神様3

――神はただの人間だと知ってから、長い月日が流れた――


「 」

 私はキノコをとるため、森の中にいた。

「 !」

 ふいに、女の子の声がした。森に住む民族の言葉だ。意味は多分、「神様!」


 何を言っているかは全くわからない。わかるのは、泣いていることだけ。

 痛そうな傷だから、痛くて泣いているのだろう。

「えっとぉ…」


 困った。

 森の民族と関わることは禁じられている。けれどこの子は、私を神様の一人だと思っているのだ。


 …神様とは、泣いている女の子を放っておいてどこかに行ってしまうものだろうか?…


「…えと、元気出して!大丈夫!ね?」

 通じないことはわかっていた。でも、少しは元気ずけられるかもしれない。

「?」

 女の子は、キョトンとした顔で私を見た。とりあえず泣きやんでいる。

「え~っと…私、なんかあった時のために色々持ってるから!応急処置みたいなことできるよ。」

 とにかく笑顔で話してみた。相変わらず彼女はキョトンとしている。

「傷、包帯巻くね。消毒して。痛いかもだけど、我慢してね。」

 そう言って、消毒液や包帯を見せる。そして、女の子の傷を消毒し始めた。

「(>_<)」

『あ…泣いちゃう…!』

 そう思ったが、女の子は泣かなかった。

「偉いね。」

 そう声をかけて頭をなでる。女の子は、ちょっと笑って見せてくれた。

「はい、できあがり☆」

 包帯も巻いて応急処置は終わり。もう一度頭をなでてあげた。

「 ♪」

 女の子はにっこり笑い、礼をして走って行った。私は、少しは神様らしく見えただろうか。

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