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小学五年生のときだ。六年生と合同で組み体操をやることになった。ペアで様々な演技を披露し、徐々に三人、四人、五人と人数を増やして大技へと移行していく。最後は学年総勢での七段ピラミッドだ。
夏休み明けからさっそく練習が始まった。その最初の時間、先生が言ったのがあの忌々しい言葉だった。
――二人組作って。
周りが次々と相手を見つける中、僕だけがいつまでももたもたしていた。結局、僕の相手だけが決まらず上級生と組むことになったのはいまでも苦い思い出だ。
あの時だけじゃない。「二人組作って」。この言葉が僕はどうにも苦手だった。
友達が少なかったわけじゃない。一緒にご飯を食べる連中くらいはいたし、たとえば遠足や修学旅行の班分けはそいつらと組めばすんなり決まった。けれど特定の誰か、たった一人のパートナーとなると、僕には誰もいなかった。また、僕を選んでくれる人もいなかった。体育の柔軟はいつも先生とペアだった。まるで自分はババ抜きで最後に残るジョーカーだと思った。誰ともペアにならず最後に残るあぶれ者、ゲームの敗残者だと。
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