第26話 黒井家に侵入せよ!
黒井家に侵入した三郎達は裏手へ回り、入口の近くにいた見張りを倒していた。
「中に入るぞ」
三郎は静かに扉を開き、部下と共に中に侵入した。
「わしが先に行く。あいつと戦った時に一度来たんじゃ。お前たちは後からついてこい」
「了解」
三郎が先頭に立ち、先へ進んでいった。しばらくし、三郎達は物陰へ隠れた。
「少し待て。尋問してくる」
「近くに敵がいるのですね」
「足音からして、人数は二人。
「了解しました」
三郎は部下の無得と共に物陰から姿を現し、近くにいた敵を捕らえ、すぐに物陰に隠れた。
「グッ……ガァッ……」
「わしの質問に答えろ」
三郎は捕らえた敵の喉元にクナイの先を当て、こう言った。
「わ……分かった……答えるから助けてくれ」
「お前もだ」
無得も三郎と同じようにクナイを使い、敵を脅した。
「原戸はどこだ?」
「地下室にいる」
「血狐をよみがえらせる機械はそこにあるのか?」
「そうだ……」
「地下室の入口はどこにある?」
「和室の掛け軸の裏だ」
「罠はあるのか?」
「無い」
「今の言葉、嘘はないな」
「……クッ……至る所に赤外線がある」
「それを止める電源はどこにある?」
「台所にあるブレーカーだ。下の右端が赤外線のスイッチだ」
「それ以外に罠はないか?」
「無い。これは本当だ」
「……本当のようだな。最後の質問だ。原戸に機械を渡したのは誰だ?」
「知らん。本当だ」
「……分かった。質問はこれで以上だ」
その後、三郎はみぞおちを殴り、敵を気絶させた。無得も敵を殴り、後ろの押し入れに隠した。
「台所へ向かい、赤外線の電源を落とす。その後、和室へ向かい、地下へ行く」
「了解」
三郎達は台所へ向かった。台所の近くで三郎は物陰に隠れた。
「敵がいる」
「様子を見るか?」
「うむ」
その場で止まり、三郎達は敵の様子を見た。しばらくし、敵が姿を現し、周囲を見回した。そして、速足で逃げて行った。
「わしらに気付いてないようじゃの」
「どうやら、つまみ食いをしただけのようですね」
「なんじゃそら」
「そんな事どうでもよいわ。電源を落とすぞ」
話を終え、すぐに台所へ行き、ブレーカーの電源を落とした。その後、すぐに和室へ向かった。和室周辺には、見張りはいなかった。
「敵がいませんね」
「……嫌な予感がする。お前ら、すぐに武器を装備できるように準備をしておけ」
「はっ」
三郎は和室に合った掛け軸を破り、隠し通路を見つけた。
「行くぞ」
三郎を先頭にし、一行は隠し通路へ進んだ。
「……うっ……あぁ……」
翡翠に倒された土門が目を覚ました。起き上がり、周囲を見回し、大きく深呼吸をした。
「子供にやられるとは……」
「子供に倒されたのはお前だけじゃない」
上から日照の声が聞こえた。その直後、日照と嵐が降りてきた。
「お前らもやられたのか?」
「ああ」
「敵は意外と手練れのようだな」
嵐はこう言うと、体を抑え、うずくまった。
「まだ傷は治ってないのか?」
「当たり前だ。先ほど目が覚め、嵐と合流したところだ」
「そうか……そうだ、貢一はどうした?」
「また捕まったんだろう。仕方ない男だ」
「あいつのことは後回しにし、一旦戻ろう」
「傷が治り次第、あいつを助けに行くのか?」
「それしかない。またあの子供達と戦ったところで、返り討ちに合うのがおちだ」
「そうだな」
会話を終え、日照達は外へ抜け出した。
行動中、服部は心の中でこう思っていた。昔はこんな騒動などない、平和な里だったのにと。そう思う中、昔の事を思い出した。
数十年前。幼い服部は、白也と共に修行をしていた。服部は忍び刀を両手で持っていたが、刀の重さに耐え切れなく、ふらついていた。
「茉奈、お前はまだ子供なんだから、無茶はするな」
服部はまだ白也に子供と思われるのが嫌で、無理して動き始めた。
「おいおい、顔が引きつってるぞ」
「大丈夫だよ白也兄‼私だって立派な忍者なんだから」
そう言ったとたんに、服部は忍び刀を落としてしまった。その後、その場に倒れ、荒く深呼吸を始めた。
「お前にはまだ、修行は早すぎたかな」
白也が服部を起こす中、木の後ろにいる幼い少年を見つけた。
「おーい、君は誰だー?」
白也が声をかけたと同時に、少年は逃げようとした。だが、途中でこけてしまた。
「大丈夫か?」
大急ぎで白也は少年に近付き、声をかけた。少年の膝を見ると、擦りむいたらしく、血が流れていた。
「少し待ってろ」
白也は絆創膏を用意し、少年の膝に貼り付けた。
「これで大丈夫だ」
「……ありがとう」
「それで、君は何者なんだ?さっきから俺達の修行を見ていたようだが」
「……俺は黒井海人。爺さんが嫌だから、逃げてきたら……」
「そうか。じゃあ、一緒に修行するか?丁度、君と同い年位の子もいるし」
「それって私の事か?」
服部が白也の近くに来てこう言った。
「ああ。相手もいれば、いろいろと学ぶこともあるだろう。いい機会じゃないか」
「うん」
その後、服部と海人は簡単に挨拶をし、修行を始めた。それから、三人はよく修行を行った。修行は服部が高校生になるまで、頻繁に行われた。
「おい服部、ぼやっとして大丈夫か?」
三刃の声を聞き、服部は我に戻った。
「すまん。少し昔の事を思い出してな」
「昔?」
「よく白也兄と海人で修行をしてた事だ。あの時の事をうまく活かせばいいのだが」
そう言うと、服部は動きを止めた。
「どうしたの?」
姫乃がそう聞くと、服部を指をさして答えた。
「あそこが黒井家だ」
「さて、そろそろ戦いの準備をした方がいいよな」
三刃は剣を装備しようとしたのだが、服部に止められた。
「どうした?」
「祖父達がいる。私達は邪魔をしないように後ろで待機しよう」
「分かった。でもその前に……」
三刃は逃げようとしている貢一を見つけ、捕まえた。
「逃せねーよ」
「お願い、逃がしてちょーだい‼」
「そいつは無理な相談ね。服部さん、ちょっと手伝って。ほら、三刃君も」
数分後、三刃達はパンツ一丁にした貢一を、近くの大きな木の上に縛った。
「これで逃げれないだろ」
「道具もないしね」
「事が終わるまで、そこでじっとしてろ」
そう言うと、三刃達は先へ行ってしまった。
「おーい、誰かいないのー!?ちょっとー、助けてくれー‼五月だとはいえ、こんな夜中にパンツ一丁じゃあ風邪ひくって!誰かいない?あれ?本当にいないの……誰か助けてくれぇぇぇぇぇぇ‼あの腐れ外道、覚えてろ‼その前に助けてぇぇぇぇ‼」
貢一の情けない叫び声が、夜空にこだました。
その頃、屋敷地下にいる三郎達は、奥へ進んでいた。
「おかしいですね、あれから罠もないし、あいつの部下もいません」
「その位分かっておる。何もないからと言って、気を抜くな」
「はっ」
進み始めて数分後、三郎達の耳に機械音が聞こえた。
「ここから慎重に行くぞ」
「はっ」
音を立てず、息をひそめて三郎達は移動を始めた。しばらくし、原戸の声が聞こえた。
「ええい、まだ血狐は復活せんのか?」
「まだのようです。魔力とかいう、忍術と同じ力を注ぎ始めて早一ヶ月。本当に復活するのでしょうか?」
「……そんなこと知るか!とにかく、この機械の持ち主は確かに死んだ生き物に魔力を注ぐと、復活するという言葉を聞いた‼そして、この機械で魔力を注ぎ込まれ、生き返ったのを、わしはこの目で見た!」
「死んだ生き物が生き返る。漫画かゲームのような話ですが……」
「本当だ!わしは嘘は言わん」
この会話を聞き、三郎はまさかと心の中で思った。
「わしが一人で先に行き、様子を見てくる。皆は戻って待機。何かあれば、すぐに戻る。敵に見つかるなよ。後、無線はすぐにつながるように、常に用意をしておけ」
「分かりました。お気をつけて」
会話後、三郎は奥へ進み、物陰に隠れながら移動を始め、部下達は命令通りに戻った。
部下達は戻る中、会話を始めた。
「三郎様一人で大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。何かあれば一人か二人呼ばれるさ」
「そう……だよな。なんか嫌な予感がするんだよな」
「それより、早く戻るぞ」
部下達は和室へ戻った後、すぐに外へ出ようとしたのだが、何かの気配を察し、物陰に隠れた。
「敵だ」
「戦うか?」
「ここで戦うのはまずい。地理的に我らの不利だ」
「やり過ごして逃げよう」
しばらくし、足音が聞こえた。足音の主は、翡翠達に倒された日照、嵐、土門だった。
「皆はいないのか……」
「あの隠し部屋だろ。早く行って、手当てをしてもらわないとな」
「あのガキ共……後で仕返ししてやる」
三人は部下達には気付かず、和室へ入って行った。部下達は隙を見てその場から去り、何とか外へ脱出した。
「連絡しよう。あいつの部下が戻って来やがった」
「傷だらけだが……どこかで戦ったのか?」
「あの傷なら、三郎様でも大丈夫だと思うが」
「馬鹿野郎。それでも三郎様の方が不利だ。おい、連絡はとれたか?」
部下の一人が無線で三郎と会話をし、返事をして電源を切った。
「三郎様からの伝言だ。白也達と合流し、隠し部屋に突入せよ。わしは血狐を復活の鍵となる機械を破壊する」
「勝負をつける時が来たか」
「皆に伝えろ、早くにな‼」
その後、無得は白也達と合流し、三郎からの伝言を伝えた。数分後、白也達は城を取り囲んでいた。白也は部下にこう伝えた。
「俺が先頭になる。無得、
白也の合図と共に、部下達は城に入って行った。
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