都市伝説★ダサメン


※※※※※


「は? ナニソレ天音あまね。なんでそんなコトになってんのよ」

「そんなコトって?」

「だから、今の”付き合ってる”って話。……あのスキニーマンと」


 友達のミカがチラッと教室の前方に視線を送る。

 その窓際の最前列には、相変わらず背を丸めて高い座高を誤魔化している咲耶さくやの後ろ姿。


「はは、なにアイツって陰でそんな風に言われてんの? ウケる」


 外国の都市伝説として恐れられるスキニーマン。

 背が異様に高くskinnyやせぎす、腕を垂らしながら前かがみで歩く不気味な怪物モンスターで、関わってしまったら最期……とかなんとか。


「そういう奴に告られてOKしたんでしょ? なんでよ」


 私はチューッとストローでランチ後のいちご牛乳を飲み、ぼんやりと答えた。


「うーん……別に今フリーだったし」

「メガネ外したら意外にもイケメンだった、とか」

「いや、取ってみたけど変化なし。ブサイクでもないけど、どう見てもイケメンじゃない。ヌボーッとしてる」


 とは言え、あのビン底メガネだけはなんとかして欲しくて、コンタクトを勧めてみた。

 ”高価な物だから無理にとは言わないよ”と結んでその話は終わりにしたけど、それっきり。


「ふーん。にしても、前カレはサッカー部のエース、次カレは都市伝説とはねぇ」


 その何気ない言葉に、私のいちご牛乳を持つ手がピクリと振れる。


「まあ、天音をフッてすぐ新しい女に乗り換えるようなヤツよりは、スキニーマンの方がマシ……あ、わかった!」


 突然ミカが手を叩いて声を上げた。


周防すおうくんへの当てつけでOKしたのね!? あんたのコトなんか引きずってないってアピール」

「ミカ!」


 慌てて口元を押さえ、ミカが咲耶の背中にそろそろと視線を送る。



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