都市伝説☆カレシ

満月 兎の助

都市伝説☆カレシ

ビン底メガネの告白


 金曜日の放課後、校庭の水飲み場の陰にしゃがんで隠れていた私。


 小学生のかくれんぼじゃあるまいし、高2にもなってこんな所に身を隠す羽目になるなんて。


「た……たか、高原、さん……」


 その時、頭上から降って来たオドオドとした声に視線を上げた。


「そ、そんな……顔、しないでください……」

「…………」


 なに言ってんだろ、コイツ。

 アンタの方がよっぽど今にも泣きそうな酷い顔だけど?


 細身でヌウッと背が高いのにいつも首をすくめ、背中も丸めているようなクラスメート、木之宮このみや……確か咲耶さくやだったかな。


「ぼ、僕が……その。僕ではダメでしょうか……。あ、あなたのことが、好きです」

「…………」


 ホントに、なに言ってんの?

 

「僕と……、お付き、合いして、も、もらえませんか……」


 ドモる、キョどる、目が泳ぐ、長めの髪がモサい、ビン底メガネがダサい、とにかく全体的にあり得ない。

 そんなヤツから告白された。


「…………いいけど」

「で、ですよね。すいませんすいません……! あの、ぼ、僕自身もこんな突然、変なコト言って……驚いているというか、ゴメンナサイ……」

「今日から私の事は天音あまねって呼んでいいから。私も名前で呼ぶし」

「は、はい……。ホントに、し、失礼しました……」


 深く頭を下げ、彼はそそくさとこの場を立ち去ろうとする。OKもらった事をたぶん理解してないんだと思う。


 そりゃそうだ、私だってなんでOKしたのかわからないんだから。


「どこいくのよ。ね、メールアプリ繋ごう咲耶さくや。ほらスマホ出して」

「え? め、めーるあぷり……、僕そういうのやったことないです……」

「はあっ!? 今すぐやんなさい!」

「はいいっ! …………というか、え?」


 ホントに、どうしてOKしちゃったんだろう……。





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