第2話 JK生活の終了

前に述べたように、私はかなりBLで頭がやられている。(と、事情を知る友人に言われた。)だが腐っても女子高生、そう私は世間一般でいうJKなのである!世の大人からすれば、私は青春真っ最中のキラキラ輝いている正統派女子なのだ。こんな物を読んでいると親に知られたら家を追い出されるであろう。

それに、私は一度も恋愛というものをした事がないのだ。中学生の時にたまたま本屋にあったBLサンプルを読んで以降、BLという恋愛価値観しか脳が認めなくなったのだ。NL(つまり男女で恋愛をするものだ)を読むとどうも違和感が生じて、最後まで読み進められないのである。少女漫画や、ハーレムなどのラノベを読んでいると、「あぁ、この男の子はもっといいイケメンがいるのにな…女の子に縛られないで…」などという考えが脳裏をよぎって集中できないのだ。

そういう恋愛観の狂いで、何回か告白された事はあるものの、どうしてもNLを受け入れられず、今まで全部フってきた。本当に謝りたい。そして、自分から告白した事もないので、男性とお付き合いした事はない。

これでも一応、青春真っ最中のJKなのだ。


私の通う高校でも、受験のシーズンが近づき、一、二年の間でも空気はなんとなくピリピリしていた。三年の私は、なんとなくで決めた、笹金ささがね大学の経済学部の入学試験のため、今までに無いくらいに勉強していた。ただ、その間でもしっかり月光のライオンは読んでいたし、グッズ収集もしていた。勉強中は、自分の見えない所にBL漫画の棚や祭壇をしまい、どうにか気をそらして頑張っていた。

あと一ヶ月しか無いという、緊張感が常に私の中でぐるぐる巡っていた。だが、模試の結果は志望校判定も上出来だったし、笹金大学には普通に入れるレベルまでには出来上がっていたが、気を抜いたら浪人なんてよくありがちだと聞いて今猛勉強しているのだ。

そういう思いを抱いている人も多いらしく、朝教室に入ると、いつも屯してる男子の集団もこの時期だけは単語帳などを開いて頭を抱えていた。

とにかく、学校全体の空気がピリピリと張り詰めていたのだ。そんな状況でも、私と友人の亜希菜あきなは日々BL漫画の話で盛り上がっていた。亜希菜は偶然にも同じ大学(違う学部ではあるが)を目指していて、高校に入学した時から仲良くしてもらっている。サバサバした性格で、クラスの中心的存在。スクールカースト一軍という奴だが、彼女には全く自覚がないらしい。亜希菜のBL好きは私によるもので、私の頭がやられてると言ったのも亜希菜だ。そんなこんなで、色々難しい事があったが、仲良くしている友人の一人だ。受験一週間前になっても、月光のライオンの最新刊を二人で買いに行って塾の先生にこっぴどく叱られた事もあったし、合格発表の時に亜希菜が私の横で号泣して注目をかっさらった事も、今となってはいい思い出だ。

私たちは無事に大学に合格し、高校を卒業し、私は一人暮らしを始めた。卒業しても、亜希菜とはずっと仲良くしている。

そして、BL好きなのは変わっていないし、むしろ大学生になるまでの間、時間がたっぷりあって更に読み進めていたために、もっと好きになったと思う。こんな私に、まさか漫画並みのラブストーリーがあるなんて、この時は予想だにしなかったのもまた事実である。

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ましろ 多本 傾(ななめ) @_katamuki_

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