第9話 大事なのは連携
ひとまずは戦わず逃げあるのみ......にしたいが少し深くまで来すぎた。僕の考えもバレているからコウモリがすぐに退路を塞ぎに来た。
「くそっ、やっぱりコウモリが厄介だ」
「大樹、ゆっくり詰めてきて」
このコウモリの主がこのチームの司令塔的なポジションだと思う。
「おうよ!!」
いかにも火力担当って感じだけどアタッカーではないアタッカーはさらに熱いやつなのかな。
コウモリを攻撃し、突破しようとした隙をクマが狩る。といった、数の利を生かしたシンプルな戦法に苦しめられていた。
「うぅ、攻撃が当たらん。嫌な距離だな」
コウモリが紙一重で回避し、着実にクマが少しづつ近づいてきていた。
まだ相手が詰めきって来ていないこともあるが、クマの攻撃は当たっていない。代わりに、こっちの攻撃もコウモリに当てられずにいる。
「このままじゃジリ貧になる......」
「お!!何かやってくるのか」
クマの主はやる気満々みたいだ。
牽制し、攻撃を避ける。これを繰り返して少し経ち、立ち回るのが厳しくなってきた時......
「仕掛けよう」
妨害、回避に徹していたコウモリが突然噛み付いてきた。
「いっくぜー!!」
すかさずクマも飛び込んでくる。ピンチと思ったこんな時こそ、能力の使い所だ。
うなぎの真の力。ブレスで焼き払ってくれよう。
「いけ!!火炎だ!!」
うなぎの口腔が紅く光り、目の前のクマに向けられる。
そして......
ジュボォォ!!とお値段お高めの花火のような火がクマを覆った。
「うおっ、なんだ!?」
「んー............」
なんか想像してたのと違う。確かに牽制にはなったし、まるで効いてない訳でもない感じだ。
「大樹!?大丈夫...... みたいだね」
冷静なトーンにならないで。悲しくなる。それでもこんなチャンスはもう来ない。
「クマが引いたな!!」
旗が狙える。僕はすぐに旗へと方向転換した。
「行かすか」
噛み付いていたコウモリが離れ、旗を守りに来た。が、今の僕は冴えていた。あらかじめコウモリの主なら対応してくる気がしていた。その離れた一瞬で再び退路に戻り急いで逃げた。
そして、しばらく自陣に向い......
「ふぅ。危ない逃げれたかな?」
敵の旗からかなり遠いところまで来れた。僕以外の場所は分からないと思うから、ディフェンダーは簡単に旗を離れられないだろう。
「コウモリ単体なら守りに徹すればなんとか出来そうだな」
そう言えば、早くに敵を釣れていた秀太がこっちに来ていない。
援護に行くか、旗を狙うような動きでコウモリを止めておくかどっちがいいんだ?
「和傘来てるぞ!!」
叫びながら秀太が駆け寄ってきた。噂をすればなんとやら再び。
「何が!?」
周りを見回すと、すぐ背後に狼?が襲いかかってきていた。
「うぉらぁ!!」
噛みつかれるのは、かわせたが、続く体当たりを防御しながらではあるが食らってしまった。追撃はなく、そのまま相手は走り去ってしまった。
「うわ、ビックリした。 そんなにダメージは食らってないな」
スピード重視なのか噛みつかれなかったのが良かったのか、そこまでダメージは大きくないようだ。
「悪いな和傘、あのひき逃げ野郎は咲のクジラだと相性が悪くて引き剥がすのにことにした」
「天美さんは!?大丈夫なの?」
「おう、大丈夫だ。ありゃコヨーテだろうって咲が、あと能力も見れたから一度戻るぞ。敵の情報も教えてくれ」
「オッケー」
さっきのコヨーテが突然来ないかだけ警戒し、僕らは自陣の旗まで戻ってきた。
「ただいま!!」
「おかえりーそっちは大丈夫だった?」
ちゃんと言えた。これが言いたかったんだ。
「早速、情報の共有といこうぜ和傘」
「もちろん」
僕は2人にうなぎの能力が高級花火なこと以外のことを、僕の予想も含めて伝えた。
「敵のサポーターはコウモリか。小動物だとスキルが多彩で面倒だからなオレはこいつから落とした方がいいと思う」
「うん僕もそれがいいと思う。コウモリは能力で敵の位置が把握できるみたいだから奇襲は難しい感じかな。あと、単体のパワーはあまりないよ」
「クマの方は何か能力を使ってる感じはした?」
「うーん、特に使ってそうじゃなかったけど攻撃力はしっかりありそうだったよ」
あとは主が単純なヤツっぽそう、だけど関係ないから今はいいかな。
「使い所じゃないとか、和傘のみたいに玩具なのかもしれないな」
できればこいつの前で能力を使いたくない。宴会で使おうとか言ってきそうだ。使うならせめてこいつごと焼ける時にしよう。
「こっちからはコヨーテの事ね。とにかくスピードが早くてヒットアンドアウェイで戦ってくる感じだったよ」
「んで、能力もシンプルなスピードの増加だったな。短い間だがかなりのスピードになる」
なるほど、自分のステータスを強化して物理攻撃で戦うこともありだ。
「コヨーテの相手は僕がした方がいいのかな?」
スピードが早く、1発の大きな攻撃がないコヨーテなら、特性を活かしてカウンターを狙える僕が適任だと思う。
「そうかもしんねーけど......ちょっとオレに任せてくれね?そいつ」
「勝ち逃げされて悔しいの?」
煽ってるつもりは全くなさそうな天美さんは天然だ。
「まぁそんなところだ」
怒らなかった。幼なじみだからお互い分かってる的なやつだろうか、いかん腹が立ってきた。
「おっけ、んじゃ任す。でもそうなると僕がまた足止め?多分能力も見せたしあまり時間稼げる気がしないんだけど」
「ああ、だから咲にも行ってもらって2人でコウモリから落としてくれ」
「何かまた悪巧みでもしたの?」
なんだか、幼なじみってよりはお母さんって感じだ。
「作戦だよ!!作戦 いーか、よく聞け」
秀太はとても悪い顔で話し出した。
「ふぅ、要するにこないだのやつね」
「うるせ、勝てばいいんだよ敗者にくちなしだ」
秀太が作戦を話し終えて僕が理解出来たことは、天美さんの近くに常にいながら戦え ということだけ。
本望だ。スピードも落ちている天美さんを守る騎士になればいいと。
「よし、僕は賛成だそれでいこう!!」
犬っころなんて秀太とじゃれていればいい。僕はナイトになる。
「そんじゃ固まったところで行くか、まぁオレはすぐ引くけどな」
「そうね。和傘くん頼りにしてるよ!!」
「どんっ!!と任せて」
いよいよ本戦の開始って感じだ初戦を白星で飾りに行こう。
僕の使い魔はっ!! 座布団 @2000Kazuki0205
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。僕の使い魔はっ!!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます