第8話 3vs3初戦!
いよいよ初めてのランク戦に行く、前に......
「チーム戦ではね、役割分担するのが一般的なの」
僕らは天美さんにご教授してもらっていた。
「攻撃する役と、旗を防御する役に別れるんだね」
「そう。旗を守るディフェンダー、相手の使い魔、及び旗の撃破を狙うアタッカー、あとはその2人のどちらの手伝いもするサポーターの主に3つに別れるの」
ランキングに影響するランク戦では、スタートする位置に旗があり、これを破壊されるか、奪取され、30秒間が経つと使い魔が残っていても負けとなる。
「んじゃ、咲がディフェンダー、和傘がアタッカー、そんでオレがサポーターでいいんじゃないか」
「お、以外だなアタッカーになりたがると思ったのに」
「まぁ、あほを爆弾特攻させて後ろから旗奪う方が楽しそうだからな」
と、このクズは似合わないサポーターを引き受ける宣言をした。
「このっ、まぁ天美さんがディフェンダーには僕も賛成だよ。あの霧があれば、どんなのでも迎撃してくれるそうだし」
「うんうん。任せてよ!! じゃ、最初はこれで行ってみようか」
打ち合わせは終わり、僕らはランク戦のための受付を済ませた。
「ここで待機しているどこかの組と当たるってことだよね」
「おう、どれが来ても潰してやる」
結局、戦闘狂だなこいつは
「突っ込んで最初に潰れそうだな」
「そうそう、ちゃんと和傘くんと協力してくれなきゃダメだよ」
「んな事分かってるよ、協力は大事だからな。しっかりと目立てよ和傘」
「えっ......うん、分かった」
意外な発見が今日は多い。秀太から協力って言葉が出てきた、大事とまで。
ざっと見ると30人ほどいるみたいだった。
「むっ、あれは昨日見た」
昨日喧嘩?をしていた男女もいた、チームを組んでいるみたいだった。
「そろそろ始まるか」
対戦カードが決まったらしく、それぞれバトルルームに移動することになった。
僕らの相手は名前を見ても分からないが、同じクラスの人ではない、男3人組だ。
「ちっ」
突然舌打ちが聞こえた。威嚇してきてるのか。僕も負けじと睨み返した。
「おい、行くぞ」
秀太にグイッと引っ張られて、中に入っていった。思ったより広く、
1vs1の時より大きく設定されてるみたいだ。
それぞれが旗元に着き、監督の先生から、ちょろっと注意事項を聞いたあと思ったよりあっさり試合が開始された。
「よし、和傘!! 特攻をかけるんだ」
「早やすぎるわ!!このバカ」
まだ敵の姿すら見えてない。
「冗談だっての」
と、絶対に最悪行っても構わないって顔で命令したバカは途端に真面目な顔になり
「オレがとりあえず偵察してくる」
と、一言。切り替えが早い。
「僕は行かなくても大丈夫?」
「ああ、オレの使い魔はタカだからなかなり遠隔操作が効くから、とりあえず敵の使い魔が何か見てくる」
「そうね、分かった。交戦せずに帰ってきてね」
「了解了解ー」
と、出て行ったはいいものの、非常に心配である。敵を見つけたら嬉嬉として飛びかかりそうだ。
その時突然閃いた。
「天美さんこのまま敵のアタッカーが来るまで、3人で待機して袋叩きにすればいいんじゃない?」
我ながら名案だと確信した。
「それは出来ないようになってるの」
「ありゃ、反則だったりするの?」
「ううん。旗から一定の範囲に留まっていると、徐々に使い魔のスピードが落ちるようになっているの。アタッカーやサポーターのスピードが落ちると敵に討ち取られやすくなるからね」
早めにここを離れた方がいいってことだろうか?
「それじゃあやっぱり僕も出た方がいい?」
「そんなに直ぐには能力に変化は出ないと思うから秀太が戻ってきてからでもいいと思う」
「と、話をすればなんとやらだね」
秀太が帰ってきた。
「敵のディフェンダー、アタッカーだと思われるやつの使い魔は見れた。」
「どんなのだった?」
「多分ディフェンダーがクマみたいなので、アタッカーが犬や狼のような見た目だった」
「なるほど。サポーターらしきやつは見えなかった感じね」
「オレから1つ作戦があるんだがいいか?」
「私より和傘くんとの話かな?」
「うん。どんなの?」
真面目な顔してたし、ふざけた作戦は来ないだろうと思い、きちんと聞くことにした。
「まぁ咲にもある。オレが牽制して、犬を引っ張って咲の所まで後退して来る。そんで咲にそいつは任せる」
「それってピンチにならない?」
「いや、咲の能力が下がり始める前に交戦させて、あわよくば返り討ちにしてもらう」
「私はいいよ。任せて!!」
本人が言うならいいけど......
「そんで和傘、お前はオレが戻るまでは攻め過ぎず様子見がてら旗を叩いてくれ」
「分かった。秀太が合流したら本格的に攻める感じだね」
「そうだ、なら各自、仕事を果たせよ」
そう言うと秀太は、飛び出して行った。
「いいわよ。ワンちゃんは私がやっつけてあげる。和傘くんも行ってらっしゃい」
「うん。行っくるよ!!」
ちゃんと、ただいまも言おう。
「見つけ!!こいつからやるか」
秀太ではない声が聞こえてきた。どうやら秀太は早くも上手く引き付けているようだった。
「さぁ、僕もハニーハントに行こう」
あれ?ハニーハントはクマがする方だからハニーハントハント、いや、ハニーハンターハントか?もういいや、こんがらがりそうだ。
大きくまわって、旗を横から責められる位置に着いた。するとそこにはいるはずのディフェンダーがいなかった。
チャーンス、と簡単に行くほど僕もバカじゃない。
しばらく待つと......
「そんな簡単には釣れないか、そもそも近くまで来てなかったんだな」
なんてボヤきながらクマの使い魔の主は旗本に戻ってきた。近くの岩のオブジェクトに隠れていたみたいだ。
そして、横になるような姿勢で休みだした。
(バカめ!!油断するのを待ってたんだ)
偶然にもクマは背中を向けていたので僕は一気に近づき
「くらえ、ん!?」
角を一撃くれてやろう、と思ったが背後から羽音が迫ってきていた。
「コウモリ!!」
噛み付こうとしたコウモリをなんとか尾で牽制し、振り払うと......
「そっちがくらいなぁ!!」
クマがすぐそこまで来ていた。爪がかすった程度で済んだが、反応が遅れていたらモロにくらっていたかもしれない。
「1人釣れたか、こいつから行こう」
「だね、ドラゴン?だろうし、慎重に」
まんまと罠にはめられた。
「クッソ罠か......」
「当たり前だろ、戦いの最中に寝転んでるのがいると思うか」
と、確かに。そこまで隙を見せるのもいない気がしてきた。
「さては僕を見つけてからわざと出てきたな」
「そうだ!!こいつの能力はすげぇだろ」
普通に教えてくれた、結構単純ないいヤツなのかもしれない。
「はぁ、なんで敵にバラしちゃうかなぁ」
と、苦労しそうな、もう1人が大きなため息をついていた。コウモリの主だろう。
(それにしてもコウモリかぁ、厄介そうだな)
僕の使い魔であるドラゴンや、そこのクマのような使い魔は、元のステータスが高く、シンプルな殴り合いが主な戦闘方法になると思う。
が、コウモリなどの小動物は生きるための知恵を持つものが多く、元のステータスでは劣るが、豊富な能力を持っている。
(コウモリなら吸血とか、超音波がありそう......超音波で見つかった感じだな)
多分僕はクマみたいなシンプルに戦える相手の方が得意だ。でも現状は、2vs1の状態が出来ており、多分戦わないのが得策である。
「よし、勝負だ!!(さて逃げるか。)」
「来いやー!!」
「多分来ないと思うよ」
と、冷静な一言でもって勝負の幕は切って落とされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます