第7話 幼なじみ、よきライバル

なんとかゴリを巻き、購買のおにぎりを食べながら今日は何をしようかと考えていた。

「朝まではこの時間のために頑張ろうと思ってたからなぁ。部活でも見に行ってみようかな」

ここ天代学園は4年制で午後の授業が通常なく、午後の時間で、使い魔バトルをしたり、部活動を積極的に行ったりしていて、1〜3年生の間はそういった学業以外のことにも力を入れやすい。

「でも部活動やりながら、バトルもするのは難しそうだなぁ」

この学園の使い魔でのバトルは一応、ランキングという形で優劣が付けられる。企業と合同で進めているプロジェクトらしくて実験のようなことをしているのだと思う。ランク戦は今のところ3つのランクに分けられている。

Cランク→同学年しかいない

Bランク→全学年合同

Aランク→上位ランク·全学年合同

上のランクに行けば、部活動の道具の費用を自分用で出してもらえたり、学費免除が出来たり、企業に名前がアピール出来たりするみたいだ。

「やっぱりバトルルームにでも行こうかな」

昨日も使ったバカでかい場所に行って僕と同じような人に勝負を挑もうと思っていたが、戻る途中喧嘩している人が見えた。

「ざっけんな!!なんで俺がそんなこと!!」

ガラの悪い男が女の子に対して怒鳴り散らしていた。

「そんなに怒らなくてもいいじゃん」

怖がってるわけではなさそうだったが困ってる子を助けないわけはない。

「女の子に対して何やってんだお前!!」

僕は男を吹き飛ばす勢いで割って入った。

「あん?誰だおめぇ?」

「僕は、和傘 玄信......」

名乗ったあともしかしたら不味かったかなと思ったけど、大丈夫、ビビってはない。うん。

「あ......そうなの、こいつに乱暴されて」

「おい!!てめっ」

乱暴?それはずるいぞ。とかじゃなくて、マジに先生を連れてこないといけないやつだろうか、と思っていると......

「ナーンてね ハハっいい子だね君」

女の子の方から突然言葉が来たあと

「あぁ、さっきの発言はこいつの冗談だから悪りぃな」

と、何故か男の方から謝られて完全に思考停止してしまった。

「ほら六助、次考えないと〜」

「おめぇが、ろくな案ださねぇからだろ」

と、すごく仲良く行ってしまった。

「ん!?!?!?」

それから動けるまで少し時間がかかりフワッとしながらバトルルームに入った。

ひとつの部屋が長い間試合をしているようだったがほかの部屋はほとんどが空だった。今日は部活動を見に行く人が多いんだろう。誰かと戦おうかと周りを見ていると、同じクラスだと思われる男3人が話しているのが聞こえた。

「今年は幻獣種を召喚したやつがうちのクラスにもいたけど、1人じゃないらしい」

「去年は1人とかなのかな?それかいなかったのかな?」

「1人はド派手にやらかしたからドラゴンって分かってるんだけどな」

少しだけ悲しくもなる会話だった。

盗み聞きみたいで嫌だから僕は話にいくことにした。

「ねぇ君たち使い魔が幻獣種だと何かいいことがあるの?」

「あぁ、噂の和傘じゃん」

「すまね、陰口言ってるつもりではなかったんだけどよ」

からかって言ってるわけではなさそうだった。

「いやぁ、いいんだけどなんかカッコイイ言葉が聞こえたからね」

いじめられるコースかと思って真剣に怖かった。優しいヤツらで良かった。

「幻獣種の事か?俺らもよく知らんがなんか希少みたいでな」

「和傘くんの使い魔ってドラゴンでしょ」

「珍しいみたいなんだけど、何か違いがあったりするの?」

「まぁそりゃみんなもわかんないよね、僕もまだ全然分かってないんだ」

同じ新入生なんだから分からないことだらけなのは僕だけじゃないと納得した。

それからしばらくお互い自己紹介などして、それぞれの使い魔がどんなのか、部活動はする予定なのかなどを話していると長く試合をしていたところから、天美さんと秀太がでてきた。

「お、やっぱり2人か」

一度3人との話を終えてから2人の元に駆けつけた。

「お疲れ様、どうだった?二人とも」

「いやぁ、まぁ、オレの勝ちだな」

「あれを、勝ちというのあなたは!!」

正直試合が見てないから言えないけど、わかってる上で言おう

「秀太どんな汚い手を使ったか正直に吐け」

「いや、不意打ちがどうこうって和傘に偉そうに言ってたのは咲だからいいんだよ」

「そうね、じゃあ今回は私の負けよ!!」

とっても悔しそうだけど少しいじけてる。こういう仕草も可愛い......

「てかいっそ今言っちゃえば......天美さん、秀太と僕と一緒にチームを組んでランク戦に挑戦してみない?」

「えっ!! うん、いいよ楽しそうかも」

「おう。いいぞ」

元気な嬉しい返事と、昨日提案したやつとは思えない、雑な返事が返ってきた。

「なんでお前が乗り気じゃないんだよ。提案したのお前だろ」

「あ、そうなの?」

秀太は何故か少しためたあと

「まぁそもそも、生きるための嘘もたまには必要だよな」

と、一言。絶対に覚えといていつか仕返しをしよう。

「もういいよ、とりあえずOKしてくれたんだし明日早速行ってみるって感じでいい?」

「「いいよ」」

明らかに二人とも疲れている様子だったが

「内側から弱点を知って、いつかはリベンジするからね」

「待っててやるよ」

でも二人とも闘志はまだ燃えていた。

戻ったあと、秀太にどんな感じだったのかか聞いたが、戦い方や上手く対処した話はしてくれたが、肝心の勝ち方は最後まではぐらかされた。

「ていうか、僕とのタイマンは秀太はビビってるわけ?」

少し挑発してみたが

「まぁ色々あって今はいいわ。ランク戦の方に目が向いたからな。疲れたからオレは寝るぞー」

と、自分の言いたいことだけ言ってサッサと寝てしまった。

いよいよ明日はからは天美さんとチームだと、今度こそは大丈夫だと思いながら直ぐに僕も寝た。

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