第6話 憧れの(届かない)能力バトル
「ぷぷっ...大丈夫いずれはどうにかなるさ」
「あーっ!!今笑ったな」
僕がこんなにも真剣に相談したのに。
それは1時間くらい前のこと、とても悲しい事件は起きた。
「............嘘だぁぁぁ」
僕が見せてもらった特殊能力の一覧の中で僕が使えるのは、見るからに初級の魔法...の一部と、火炎という一応僕が求めていた系統...の多分1番下のものが使えるようだった。
「そうさなぁ、能力使ってる暇があったら普通に攻撃した方がまだ戦えるんじゃないか」
「そんな!!ロマンがないじゃないか」
なんてこと言うんだこのゴリは。いずれはこいつも倒してやる。
「ステータスの点数を振り直せばまだ増えるかもしれんぞ」
「やった。そ、それはどこで」
うん、この先生はいい人だ。倒すなんてとんでもない。何を考えてたんだ僕は!!
「同じく俺の元で振り直しができる。」
「じゃあ、早速、早速〜」
そして見せてもらうと、テストを受けた順番通りステータスに割り振られていた。
国語→体力、数学→攻撃力、理科→スピード、英語→スキル、社会→体力
溢れた社会は国語と一緒に体力に振られていたみたいだ、2教科体力に振ってあるのに僕のうなぎは即効で体力が減っていた。何かの間違いだと信じたい。
「とりあえずスキルを2教科にしてみろ」
「了解です!!」
社会をスキルの方に加え、英語と社会がスキルに割り振られている状態にした。
これで......
「初級魔法を全部使えるじゃないかぁ......それに火炎だけじゃなく、嵐も、使えるぞ」
明らかに笑いを堪えて僕にそう言ってきた。
うん、やはりこいつにはいつか復讐してやる。
「うわぁー......だったらとりあえず火炎で。ステータスも元のままでいいです」
「そうか、励めよ和傘」
もっとこう、灼熱の炎とかカッコイイのが使えると思っていた。泣く泣く帰ることにした。
そして、今にもどり
「そうだよ。今は聞きたいことがあったんだった。」
「なんだ?」
「その、天美さんと知り合いだったりする?」
「おう、咲なら知ってるぞ」
死すべし、慈悲はない。
「待てっ!!落ち着け咲はただの幼なじみだ!!」
言いながら、掴みかかった僕はあっさり振りほどかれて、地面に転がされた。
「まぁそこについてはあんま触れないでくれ......」
悲しいという雰囲気ではないが、秀太は遠い目をしていた。
「んじゃあれだ。和傘から仕掛けたわけじゃないなら多分頼めばチームを組んでくれるはずだ」
チーム?天美さんと、おまけもいるけど。
「詳しく」
「ふう、我に返ったか...とりあえず明日着いたらすぐにオレがチームでランク戦に出てみないかって頼んでみるから、お前も一応挨拶くらいはしとけよ」
「いやぁ、いいよ僕もチームになるんだし僕も一緒に頼みに行くよ。」
これは邪な気持ちはなく、本音だった。
「決まりだな。んじゃ明日は走らないためにもう寝るか」
「そうだね おやすみー」
僕は多分ついている。初めて先生が全員の名前を呼ぶ時、天美さんを見た男子勢は多分全員見とれたと思う。僕はそうだ。そんな天美さんとチームを組めるんだ。嬉し過ぎて寝れないかも!!
そして次の日
「早く席につけギリギリコンビ」
「はぁ、はぁ疲れた〜」
「いやぁ余裕で間に合った、なぁ」
本当は1時限目が始まる前に話しとこうと思ったけど、昼休みになりそうだ。あとぐっすりすぎるくらいには寝れたからとりあえず授業で寝ることは無かった。
そして昼休み
「咲、話があるんだ」
「ん?秀太と和傘くんじゃん。うん、どうしたの?」
「あのね僕達と......」
「あぁ、今日の放課後オレと勝負してくれないか?」
あれっ?話が違う。
「えっ、ちょっ」
「お、いいよ全力で勝ちに行くからね」
「ここでこそは勝ってやるよ」
「待て待て、ちょっと話が違くない?」
僕は秀太にだけ聞こえる声で聞いた。
「悪いな、少し考えたんだがオレもこいつに挑んでみたくなった。だから今日は覚えた能力でも試して来てくれ」
こ、こいつ、騙された。
「ん?和傘くんはまだ何かを分からないことがあった?」
秀太の方を見ると、ダメっと言った感じに小さくバツを指でつくっていた。
「いやぁ、んーと、スキル決めてきたよ」
やばいこのままじゃ、傷口をえぐる。
「そう!!簡単に人にバラしちゃダメだよ不意打ちが決まる時もあるからね」
忠告貰ったけど、秀太とのバトルにおいては残念ながらもう無理みたいだ。
「そ、そうだね、ありがとう」
とりあえず話はそこで終わったのだが僕らは購買に向かう途中...
「ふざけんな!!戦闘狂もいい加減にしろ」
「いーだろ、オレが昨日戦った相手はどう動くかも全然わかってないオドオドしたやつで瞬殺で楽しくなかったんだよ!!」
僕らは廊下で掴みあっていた。
力でこいつには勝てないことは昨日で分かっていたが、そんなことは関係ない。なんとか倒して、さっきの発言を撤回させよう。と、していると突然手を離して、秀太は逃げた。
「おっ、僕に恐れ...」
「楽しそうだなぁ、何があったか聞かせてくれ」
もはや、問題児という扱いが3日目にして付いた僕の近くにゴリ(担任)が迫っていた。
「今日も元気です!!では!!」
「逃がすと思っているのか、共々指導室に叩き込んでやるわ!!」
僕らの昼休みは(ガチの)鬼ごっこで潰れた。明日から、いやなんなら今からが、不安で仕方ない。
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