第3話 早くもバカはバレていく
早々に問題を起こし、担任に長い説教を食らったが、そのあとの学園の説明や教材の配布では問題を起こすことなく終えることが出来た。今日はとくにこれ以上何かあるわけでもなく放課後になるのだが1部の生徒にはあと一つワクワクすることがあった。
「念願の寮だぁー」
僕がこの学園を目指した理由の一つでもある寮、2人部屋になるらしいが親元を離れるというのは密かに憧れていたものだ。僕は説教されていたので先に部屋にいるであろう相方はどんなやつかと想像しながら行くと......
「よぉ、さっきぶり」
鷹を連れたアホがいた。
「くっそ、これと4年も僕は暮らすのか......」
「そいや、改めてなオレは藤宮 秀太だ。よろしくなぁ」
なんでこんなに普通に挨拶が出来るんだろう。
「もしかしてこいつはバカなのかな?」
「声に出てんぞ。お互い様じゃねぇか」
「まぁとりあえず、僕は和傘 玄信、さっきはなんで突然突っかかってきたのさ」
「んー......悪かったな。なんとなく勝負して見たくなってな」
ニコッと笑ってみせた秀太は悪くはなさそうなやつだった。僕も初めて使い魔を動かせてそれなりに楽しかったし折角の相方なんだから仲良くしようと決めた。
「僕の方も突然声を上げて悪かったよ」
秀太は気にしてないといった風に手をパタパタとしていた。
「明日から勝負のために基本を教えてもらうんだ、最初からいろんなやつに仕掛けてどんどん強くなってやろうぜ和傘」
「もちろんだよ。秀太も明日は僕にコテンパンに負けないように頑張れよ」
今日は怒られたせいで少し遅かったしお互いに少しずつ自己紹介をして大人しく寝た。
次の日
「くっそ走れ遅れるぞ」
「うぉー、パン加えてるけど一本道で曲がり角がないよ」
遅刻をかけてダッシュしていた。なんとか間に合ったが昨日のこともあり完全に僕ら2人は問題児扱いが決定した。
「おう、バカ2人早く席につけ」
このゴリラにはいずれ復讐しようと決めた。ドタバタ始まったけど、午前の普通科目の授業は普通に受け、午後で使い魔によるバトルの説明を受けていた。が、僕は全然理解できてなく、秀太の方を見ると、全く話を聞いてなく周りの誰に挑もうかと悩んでるといった雰囲気だった。初めから遅れるぞっと思っていると
「イマイチ分からない?私が教えてあげよっか?」
と、綺麗な黒髪を長く伸ばし、スラリと長い手足のクラスメイトが声をかけてきた。
「あっ、私は天美 咲っていうの。よろしくね」
「和傘 玄信です えっと、お願いしてもいいかな?」
「うん、いいよ!!」
と快く僕にもわかるように簡単に説明してくれた。
一、バトルは、3 VS 3の陣取り合戦
二、制限時間はなく、相手チームの使い魔を3体とも倒すか、敵の陣を奪取したチームの勝利となる
三、使い魔のステータスは試験5科目の点数を体力、攻撃力、スピード、スキルの4つに割り当てたものになる
大まかな説明はこんな感じだったらしいのだが、三が僕には難しかったのでしっかりと説明してもらう事にした。
「例えばね、国語を体力に、数学を攻撃力に、理科をスピードに、社会と英語をスキルに割り当てるとね和傘くんの場合数学がすごく高いから攻撃力が高くなるの。」
「なるほどでも、体力、スピード、スキルはダメなわけか。」
「うーん、残念ながらね。でもスキルは2つ教科を割り振っているからほかの2つよりは高い点数で戦うことが出来るの!!」
「なるほど。ん、でも体力とスピードは何となくわかるけどスキルは点数が高いと何が出来るの?」
「スキルが高いと色々な種類の技が沢山使えたりするの。ドラゴンで言えば、炎を吐いたりその威力を高くしたりね」
なるほど、ドラ〇エでいうところの火の息が激しい炎になるようなものか。
「その代わりバトルの前にどれを使えるように決めておかないと折角点数が高くても何も能力は使えないんだけどね」
「そーか良かった!!無視されたわけじゃなかったんだね」
「ん?なんの事かわかんないけど役に立てた?」
「ありがとう!!ほんとに助かったよ。よし、秀太との決着をつけに行かねば」
可愛いくて優しい子に沢山話してもらっただけでも嬉しいのに名前まで覚えて貰えたかも、とウキウキしていると
「あぁ、ちょっと待って」
「んえ?」
ビックリして情けない声が出た。
「その前に私ともバトルしてくれない?」
ニコッと笑ってくれた。あのバカなど比較にならないくらい可愛い。
「よし。勝負だ!!」
学園側が開くきちんとしたバトルでは無いため今回は1VS1だが、戦っていいとこを見せたいと思うのが男なのだろう。僕は初めてのバトルでは一応ないのだし、負けられないと思い、天美さんに向かった。
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