第25話番外編ユウキとカナ3

お昼ご飯の冷やし中華を一緒に食べ終えて冷えた麦茶を飲みながら、ユウキは目の前にすわるカナの様子を伺った。なんて切り出そうかと思っていると。


ガチャ!

「ただいま。ユウキ帰ってるの?

カナちゃんいる?」


この声は、忘れもしない。親父の赴任先に付いていっているはずの母親だ。


ユウキは玄関に向かい、荷物をうけとった。

「どうしたんだよ。母さん帰ってくるなら連絡ぐらいしろよ。」

「何いってるのよ。あんたさっき会ったじゃない?」

「はぁ。意味わかんねー。」


カナが玄関にきて、

「おばさん、お久しぶりです。まあとりあえず荷物片付けます。座って冷えた麦茶でも。ユウキには私から説明するから。」

ユウキはリビングに荷物を運び、カナは冷蔵庫にしまう。ユウキの母親と3人でリビングの食卓に座った。カナが冷えた麦茶をもう一杯用意して、ユウキの母親に出した。


「カナちゃんありがとう。美味しいわ。」

「カナそろそろ教えてくれよ。」


カナが話しはじめた。

「私が帰ったあと、ユウキ寝落ちしてたんでしょ。本開いたまま。多分、そこのソファで。

ソファは台所から見ると背中しかみえないから、おばさんはユウキが起きていると思って、話しかけたんだと思う。おばさんが台所かどこかにいるとき、急に急いでユウキが荷物もって練習にいったから、鍵掛けわすれたと思っておばさんが中から鍵掛けてくれたんだよ。ユウキの鍵が家の中にあるとは思わずにね。

そして、おばさんがその後買い物に出かけている間に、私達が帰ってきたというわけ。」

「なんで、カナは気がついたんだよ。」

「まずは、食器籠にガラスコップが洗っておいてあったこと。ユウキは私が帰った後寝落ちしたし、いつも麦茶やジュースはガラスコップじゃなく、自分で飲む時は自分専用のマグカップを使うじゃない。

次に冷蔵庫の麦茶の量が少し減っていたから、きっとおばさんでも帰ってきて飲んだんだろうって。

だって、冷蔵庫にいつもお茶が作ってあるのを知っているのは、私とユウキとおばさんだけだもの。」

「それだけで!」

「それに、おばさんがかえってきた理由もわかっているのよ。

ユウキが甲子園に行くのが決まって1番喜んでいるのは私とおばさんとおじさん。

おばさんは、ユウキが甲子園に行くまでこっちに帰ってきて、ユウキのアシストをするために帰ってきたんだよ。」

母は

「ユウキたら、私達夫婦には教えてくれなかったのよ!カナちゃん。ひどいと思わない?

お父さんも来週には長期休暇もらって我が息子の晴れ舞台楽しみにしてるんだから。私達夫婦は開会式から甲子園に行きますからねー。楽しみね。カナちゃん。」

「あー、だから教えたくなかったのに。」


でも、それからおばさんが作る部活飯で甲子園でも大活躍したユウキ。

おばさんとおじさんは我が子がプレイする姿を甲子園のスタンド席で応援するという夢が叶ってすごく嬉しそうだった。

もちろん、私も。

そして甲子園の空はあの絵空と同じだった。


おわり


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幼馴染は名探偵!〜はじめての推理!〜 @ayuna_ebi

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