第21話 ミス研 成田の報告書
僕達は、美術部にM氏の絵があるとみて、現美術部員に聞き取り調査をしたところ、やはり去年の部長から、証言を得ることができました。
去年の部長が3年になったばかりの4月いつものように新作に取り掛かるため副部長と美術部倉庫に入った。
今年は受験生だし、いつもより小さめのキャンパスで書くため倉庫でさがしたところ、M氏が書いた絵がちょうどいい大きさだった為、倉庫より取り出した。
しかし、その絵があまりにも見事だったので取り外さずにキャンパスを二枚重ねて貼り、自分の絵を描き始めた。
部長は下の絵に負けない絵を描こうと奮起したため、その年の展覧会で大賞をとることができた。
そして、玄関に飾られた頃、美術部の先生が美術室、倉庫を必死に血まなこになって探しものを始めた。先生は見つからず、M氏の絵とは言わずに部員みんなにまで聞いてまわった。
しかし、先生が倉庫で探している時手伝いにきた教頭とM氏の絵であることを話しているのをたまたま聞いた部長と副部長はあの絵だと気がついた。
副部長は部長にラインしたつもりがクラスのグループラインにしてしまい、騒ぎになった。
副部長は携帯を機種変更した時ラインの引き継ぎを忘れて招待されたばかりだった為すぐに退出して、ラインを削除し、もう一度入れ直して知らん顔を通した。
これが真相でした。
その後。
M氏の絵は去年の美術部部長が去年の全国高校美術展で大賞をとった絵の下からでてきた。
それと同時に、校長よりミス研へ回答が別紙のとおりあった。その後正式に発表されて、M氏の絵は正面玄関に展示されることになった。
『M氏は1年生の時に、美術部に入部した。
しかしあまりにものめり込みすぎて成績がかなり下降した。そのため、美術の先生からの再三の注意にも生活態度が改まらなかった。
そして、退部となった。
美術部の先生が絵を確認した時はなかったので公式には存在しないと報告した。
退部への経緯があったため、美術部に在籍していた事は伏せることと判断した。』
その後、M氏からコメントが発表された。
『高校生の時に書いた絵は私にとって原点になる大事な絵だったので、もう見ることはないと思っていたので本当に嬉しく思います。
今思えば美術の先生には感謝しかありません。
絵の基礎を教えてくださり、その後大学に進学できたのはあの時勉学に励んだからだと思っております。
絵は母校で展示され後輩達を見守り続けていることを嬉しく思います。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます