2章 トモイキ、ウラハラ
第4話 二杯目の紅茶
あと何日生きれます、なんて言われて参加を決めた[プログラム]。
人への応用例は未だ片手で足りるくらいの、まったく新しい治療法。
『効果のほども
そう念押しされたけど、助かる助からないは正直どうだって
なにをせずともすぐそこに、終わりはくっきり見えている。
だったら、その応用例とやらに私の名前が
ぶっつけ本番、クスリでもレーザーでも、なんでもござれのどんとこい。
なんて
まさかなんちゃってメイドさんに二人暮らしを迫られるなんて思ってもみなかった。
さすが最先端の治療法、意味が分からない。
「ねぇ、くうちゃん。ほんとのほんとにここに住んでいいの?」
朝食は別の部屋でと連れられてやってきたこの病院の最上階。
高級ホテルのスイートルームみたいな部屋は、お
「はい。本日よりこちらに移っていただきます。そもそも、この部屋は末那さまがよく見られるドラマを参考に作られました。ですので末那さまにお住みいただけませんと困ります」
「困るとか言われても。ってあれ、作った?」
「はい、もとより
「いかがって言われても。逆に落ち着かない」
家具は高級品みたいだし、このティーカップとか割っちゃったらどうなるの?
「ふふ、末那さまは
「なによ、その余裕。まるでくうちゃんの方がここのお嬢様みたいじゃない」
「いいえ、この部屋の
くうちゃんは
その姿がすごく
「この部屋は[プログラム]をお受けになられる
「え、そうなの?」
ならティーカップ割っても平気かな……、ってわけにはいかないか。いくらお金に問題なくても気にしちゃうのはしょうがない。
「また、これとは別に報酬が支払われる予定です。これは[プログラム]の終了後、期間と成果に
「え、終了後?」
それが終わる時っていえば、私がいなくなってから?
「いついかなる時も、末那さまには中止する権利がございます。またご回復された場合もそうなります。つまり[二人暮らし]の解消が、[プログラム]の終了にあたります」
そっか、そういう終わり方もあるんだ。
「え、っと、とりあえず心配ないんだね? わかった」
「
どツボにハマりそうだし、深く考えるのはやめにしとこう。
「それで、[二人暮らし]ってなにするの?」
「私と暮らしていただきます」
それはもう聞いた。
「なにかしなきゃいけないこととかあったりしない? ほら、クスリが増えるとか検査が増えるとか」
「ありません。しかし、いい
「ありがとう存じます。まず末那さまは
「そりゃぁ、まあ……」
機械と繋がれてる間、ずっと身動きしちゃいけないし結構キツい。
でもそれが、私の当たり前だったから。
あらためて言われても、そうなんだろうなって
「そんな末那さまに
「え?」
くうちゃんはその白くて小さい手を胸にあて、自信満々な顔して笑う。
「私めは医療用バイオロイド
「えーっと、それってどういう……?」
カタカナでドバって来られても。
「っていうか、ちゃんと聞いてなかったけど。くうちゃんはロボットさんなんだよね?」
「厳密には違います。ですが大まかに言えばロボットです」
バイオロイドって言葉の
「……ごめん、どういうことか分かるように教えてよ」
「ふふ、末那さまはカタカナ語が苦手。学習しました」
「もう、そうやってすぐ笑うんだから」
バカにしてるわけじゃないらしいけど、でもその笑い方はムッとくるとこがある。
「ォホン、失礼いたしました。では説明させていただきます」
くうちゃんの顔が真剣な
「まず私めは、バイオテクノロジーからアプローチされたアンドロイドです。日本語に直せば、生物工学で作られた
「……ようはロボットでしょ?」
「ロボットは人型でないモノも含まれており、人造人間は人に似せて作られたモノを指します。ゆえに、本来ロボットには必要のない機能も
「ぇ、ちょ、なっ?」
くうちゃんはすっくと立ち上がり、すぐ隣に来て私の右手に両手を伸ばす。
こっちがテンパって動けないのをいいことに、私の右手はくうちゃんの両手にそっと包まれた。
「ほら、温かいでしょう?」
またからかう気?! なんて頭に
となればむしろこっちが気恥ずかしいやらなんやらで。
そっぽを向いて視線を
「
右手に意識を集中すると、じんわりとくうちゃんの体温を肌で感じる。それにその手の
「ぁぅぅ……」
漫画やドラマで
だけど、そっか。
手を繋いだりなんて、それこそ特別な理由でもなければしないこと。
だから、手を繋ぐだけのことがすごく
「
「わかったから、離してよ」
パッと右手が開放されて、熱が逃げていく。
……少しもったいなかったかな。
なんて、くうちゃんの手を目で追ってる自分が心の
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