第零話【達成使いは夢を見た】その③
〈545-32〉
上の章数の数の並びには全く意味がないということはともかくとして、俺はあんなことを言っておきながら、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
入学式の日。
目覚まし時計で起きれなかった。
大惨事。
遅刻確定。
「のわあああああああああだあああああああああああぎゃあああああああああああああああああ!」
叫びながら自転車を必死に漕ぐ。普通なら不審者扱いなのだろうが、ここでは大丈夫そうだ。何せ、
“Dai”
“夜露死苦”
といった落書きだらけの廃墟の中にポツンとある学寮が、俺の新たな拠点となったからだ。っていうか、Daiって、Dieのつもりなのかな。
「ああああああ…もうダメだな」
諦めるな俺。時間的にはもう確実に入学式は始まってるけど諦めるな、俺。いや、諦めようかな。だいたい、入学式に遅れたぐらいでなんだったんだ?
「何してんのよ」
前に時破田がいた。あぶねえなお前。
「よう時破田、テレポートしてください」
「敬語……まあそのつもりで来たんだけどね。朝寝坊するだろうなと思って」
「え?なんでそんな信用ないの?」
…と、そんなこんなで、俺は学び舎に到着した。もう、時破田には感謝だ。
そこに広がっていた景色は…!
「って、校舎見てる暇はねえ!」
俺は入学式の会場である体育館に辿り着いた。ただ、それが体育館と呼ばれるものにしては外見が余りにもボロかったところから、それからチラッと見えた校舎の惨状から嫌な予感はしていたのだが、
「‼︎…」
前置きがとても長くなってしまったが。
そろそろ物語はスタートする。ようするに彼女の言った通りで、期待した俺が馬鹿だった。俺は少なくともこの時だけはそう思った。そう、この時だけは。
なぜなら、入学式なのに、
会場には教師と椅子と数人の生徒だけが並んでおり、
生徒の大半がいなかったからである。
「…おい時破田、まさかこの学校…」
「うん。あたしも直に見たことはなかったけど、噂通りだね。いつもこんな感じらしいよ」
「てめえ騙しやがったなー!!」
「てへっ」
かわいい。
かわいいから許しちゃおう。
でも、許してどうなるんだろう?
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