1年生篇前半[白刃踏むべし!]
第零話【達成使いは夢を見た】その①
あと1週間後には、俺の待ち焦がれた学園生活が始まる。俺はそんな事実に対して咽び泣き、打ち震え、時破田に気持ち悪がられるほど感謝した。よくぞ、よくぞそんな学校を教えてくれた。
『天角学園』。てんかくがくえん。
思考異常者の集う学校。
「いやあ、あんまり期待しない方がいいよ…」
「いやあ、期待してしまうんだよ」
「いやあまあ、それは仕方ないかもしれないけど」
何せ俺は学友というものを知らないし、それどころかあまりこれまでに人と話してきていない。俺と普通に話せるのは思考異常を持つものだけ、
知っているのはたったの6人だけだった。
能力を持った銃をこよなく愛し使いこなす、熟年警官のおっさん。
影や陰というような字がよく似合う、斬撃専門の魔法使いの後輩女子。
天才的な頭脳を持ち、俺を勝手に兄と呼ぶ、世界でも有数の実力を持つエンジニアショタ。
神のような能力者にして、俺の師匠にして、俺の最大の敵にして、俺の命の恩人、庵内湖奈々。
世界一まともな狂人、巫槍。
俺に最低限の生活を与えてくれた救世主、小学校時代の保健の先生。
おっと、もう1人いた。
漫画好きのメガネにして封印能力者、凄腕のテレポーター時破田心裏。
「…いや、期待するぞ俺は」
「いやあ…ねえ…」
「なんだよ時破田、そんなにダメなのか?」
「いや…うん。まあいいんだけど」
何か、申し訳なさそうに、そしてめんどくさそうに彼女は会話を終わらせた。
「そんなことより、紅」
「ん?」
「入学後、多分すぐに生徒指導室の教員と戦わなくてはならなくなる」
「そいつら、強いのか?」
「まあまあ…あたしとか紅より強いってことはさすがにないけど、能力者としては強い方だね。何せ、思考異常者…それこそ魔法使いやら超能力者やらをも含むやばい奴らを押さえ込まなきゃいけないんだから」
「ふうん。そいつらのデータとかは?」
「あるけどいらないでしょ」
「まあな」
でも、思ったより楽勝そうじゃないか。
「でもね紅」
「ん?」
怪訝な表情を浮かべる。
「そいつらだけなら、あたしだけでも倒せる」
「うん」
「だけどそれが出来ない理由がある」
「何だ?」
「あいつらは、加護を受けている。天角学園の最強格、理事長 須川朝登から。」
「…理事長?」
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