プロローグ【封印ラジオ】その⑤
〈1-3〉
レディース!お待たせ!
「………」
今日もこの時間がやってきた!
「ジェントルメンも混ぜてあげて」
時破田心裏のぉ哲学レィディオおおおおお!
「名バレしてる⁉︎」
それではさっそくお便りを読んでいこう!30分しかないから早口で!まずは当陸県玉井市にお住いの 初期微動継続時間よ止まれザ・ワールド さんの投稿だ!
「は?」
最近うちの息子がサッカーしたいだの野球したいだのうるさい。うちの息子にはもっと高尚な趣味を持ってほしい。小さい頃から音楽会や美術館に連れて行っているのに、どうしてそんなつまらない人間に育ってしまったのか。時破田さん、教えてください。…うーん。これまた面白いリスナーさんが現れたな〜!よーし、リスナーのお父さんの面白さに免じて、正解を教えてあげよう!
「………」
大切なのはジャンルじゃないよ!確かに、音楽や美術がスポーツの上に立つというのは理解できなくもない。芸術は才能でできていて、運動は筋肉でできているもんね。芸術と運動を比べれば芸術が上と考えるのは自然な考えだ。でもね、運動にも美しさが存在するように、芸術にも優劣が存在するんだよ?大切なのはジャンルじゃない。優劣をつけられた時に、上に立てることなんだ。…いや、下に立たないこと、かな。だから、息子さんには運動する方が合ってるんだよきっと。お父さんはそれを嘆くんじゃなくて、応援してあげなくちゃ。活躍できるジャンルを見つけたんだなって。最終的にどんなジャンルにいようと、価値あるのは誰かの下に立たない人間だけなんだから。
「…へえ、結構面白いこといいますね」
「人生相談ダイヤルって感じか…?哲学レィディオねえ。この感じだと、一定数のリスナーが存在するようだが」
「いや、そうとは限りませんよ。心を読める能力者とか、テレポーターとかなら、全人類からお便りをもらうことができます」
では次に行こう!宮宮県春市にお住いの +光を纏い光を喰らう闇の戦士+さんから!
「痛い」
僕は今中学二年生なのですが、
「中2だろうとは思ってた」
先月から気になっている女の子がいます。しかし、その子には彼氏がいます。奪ってしまいたいのですが、僕にはそれをなせるだけの魅力と度胸がありません。どうしたらいいでしょうか。…うーん。また面白いリスナーさんだ!よっし、じゃあ、教えてあげよう。
「結構重い話題だな」
そいつ、そんなにいい女じゃないよ。今のうちに忘れよう。だいたい、中学で彼氏もしくは彼女いる奴なんて糞だよ、だって義務教育の間さえ勉強に集中できない奴らだよ?その彼氏君と奪いたい彼女ちゃんの顔みてみ?最高峰の等大に入れる顔か?そういう奴らはまともな学歴なんてゲットできないし、学歴社会では埋もれていくばかりなんだよ。だから、例え彼女ちゃんから言いよってくるようなことがあったとしても、君は君の将来の為にお付き合いをするべきではない。君が奪うべきなのは彼女じゃなくて学歴、そして将来の夢なんだよ。
「時破田心裏に一体何があったんだよ!」
「ああ。…さて、続きが気になるところだが、この辺で切っとこう。どうだ?紅、こいつは」
「はい。こいつは思考異常者、そして封印能力者ですね。めずらしい。これは紛うことなき能力犯罪です」
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