プロローグ【封印ラジオ】その④
問題の現場。よくある、声優が2人で対話するスペース。毎週水曜日にここで行われるはずの番組が、何故か謎の女の声に変わって放送されてしまう。出番を奪われた2人の声優はそれなりに大御所らしく、しかも夢の共演だということで、
「早急に解決していただきたいです」
…とのことだ。俺は話せないから、おっさんが会話担当となる。
「わかりましたお任せ下さい」
「料金はいくら払えばよろしいですか?」
「いいですよそんなの」
「えっ…」
「中学生ボランティアと公務員ですし」
「い、いえでも…警察の本部もお手上げだということで来ていただいている以上、払わないわけには…」
「いいんですよ。そんなのはどうでも…それに、私はともかくとして、この紅はラジオの為に来たわけではありません」
「え?ではなんの為に?」
「決まっているでしょう。犯人を更生させる為に来たんです。彼は悪の味方ですから。」
っていうか、お手上げだったのか。本部。
とにかく俺達は調査を開始した。そういえば、おっさんと組んで動くのは久しぶりだ。一応、事情をかいくぐって話しても大丈夫な相手というのが他にも存在する。最近はそいつらとばかり組んでいたのだ。
「魔法、超能力、共に痕跡無し…おい紅、そっちは?」
おっさんの銃には異能を感知する機能もある。俺はただ単に気配を感じとるだけ。俺達は共に無能力者だ。
「ダメです」
困ったな、とおっさんは言う。まあ確かに、既に午後3時、俺は今日中にもう一つ大事件に巻き込まれるから、この後のスケジュールはキチキチになること不可避なのである。仕方ない。俺のせいだし、責任を取って晩酌には付き合ってやろう。俺はジュースしか飲めないけども。
「あーあ久しぶりに忙しくなるなー、まあ、いつも忙しいんだけど。でもなんていうか今回、めんどくさい匂いがするんだよな。あー困った困った」
「いやいやそうじゃなくて」
「?」
「紅、おめーわかってねえな」
「ん?どういうことですか?」
「…まあ簡単に言うとだ、放送のジャックが完璧すぎて気持ち悪いんだよ」
「…?」
変なことを言う。
「手際がさぁ、完璧すぎる」
「計画をよく練っていたんでしょうね」
「違うな、そんな次元じゃない」
「え?」
「どんな人間だろうとどんな異能を持とうと、犯罪をしようとすれば誰しも緊張して計画通りにいかなくなるのが普通だ。でもこいつは、普通でも、普通じゃなくもない」
「…」
「完全犯罪とか、慣れているっていう次元じゃなくて、いつもやっている、って感じだこれは」
「いやでも、いつもやっているって、他のラジオ局からはジャックされた報告なんて来てないですよ」
「うん。だから、困ったな、なんだよ」
「?」
「それが出来る能力者なんて、限られてくるだろう」
「…『封印能力者』ですか?いやいやまさか、どんなレアですか」
「ああ」
封印されるべき能力者。
そういうやつらが存在する。俺はそれ以上にも一応倒されはしないからあまり最近は気にしてはいなかったが、一般人や能力者から見れば脅威の存在。封印能力者は、世界を滅ぼすことのできる能力者である。その域に達した者なら、公の場で犯罪を犯してもミスはでないだろう。
それに、力のわりにやることが小さいのは、封印能力者の特徴の一つでもある。
「確実だとは思うが結局推測の域を超えない」
「うん」
「もっと証拠が必要だな…」
「じゃあ、聴きますか、その番組」
「そうだな…面白いことを祈ろう」
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