第2話 A案
調子に乗った私は、誰かと本の話をしたくなった。
職場には年上の人がたくさん居るので、何気なく本の話題を出してみよう。
しかし時代なのか、ゲームをやっている人はたくさん居たけれど、本を読む人は少なかった。
ようやく見つけた読書をする人と本の話をしてみた。全然ついていけなかった。
数冊読んだだけでまるで昔から文学少女のような錯覚をしていた浅はかな自分が恥ずかしくなった。
○
私は本屋へも行くようになった。名作と同時に新作もチェックしたい。あとどんな本が売れているのか、本屋の売り場展開を見るのも面白い。
市内で一番品揃えの良いジョンク堂へよく行く。ジョンク堂へ行く途中に、ちょっと気に入っているカフェもある。
意外にも、小説の月刊誌が結構発売されている事を知る。
試しに一冊購入して読んでみると、全然知らない作家の名前が並んでいた。
しかしどの文芸誌にも、一名は私でも知っている作家の名前が出ていた。
小説家イコール自分が知っている作家だと思っていたけれどそうじゃなかった。
自分が知っている作家というのは人気作家、ヒット作を出した作家だった。
知らない小説家がこんなに存在するなんて。今まで漫画ばっかり読んできたのもあるけれど。
既に毎月連載を持っている小説家よりも面白い作品を書けなければ、アイドルに会う事は出来ない。
途方にくれる計画だ。遠すぎて落ち込む事も無い。
○
毎週土曜日の夜はアイドルのレギュラーラジオ番組を聞いている。
毎週五十分もトークが聞けるなんてラジオならではだなぁ。
テレビと違ってメンバーだけだから、メンバー間の微妙な距離感も垣間見える気がする。
今夜の放送メンバーは菊池君と松野君だった。
菊池君が、本屋に行った話をしていた。
好きな本の発売日を間違えてしまい、一日置いて、二回同じ本屋に行ったそうだ。そしたら、二日前と売り場の展開が変わっていて驚いたと話していた。
そういえば小説なんかで大きな賞が発表されると、本屋の売り場はそれ一色になっている。旬のものだからすぐに売り場展開をしないといけないのか。
それに本の賞って、私が知っているだけでも結構ある。
それにドラマや映画化になったら、その原作本が大きく紹介される。
ドラマは三か月で入れ替わるし、最近は漫画原作の映画化がとても増えている。
何だか、本屋の仕事も気になるし、どういう経緯で映像化されるのか等、好奇心ばかり走る。一冊の本が社会現象を起こす事もあるし、誰かの人生のバイブルにもなる。
色んな事を考えていたら紙の本が何だか、とても重大な意味を持つ物に思えてきた。
○
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