第4話 第三章
「爆弾とはまた物騒な話しですね。物理的な破壊では人間にも被害が及びますよ。それはそうとまたパンツ見えてます。それに胸の谷間も。目のやり場に困ってしまう」
スカートを直してから胸元を強調する様にジュリーは肩を寄せた。
「比喩よ。タダなんだから楽しみなさい。カタブツさん!」
「十分に楽しんでます。おかげで体がガチガチです。では、具体的に例えば?」
「例えば、女を口説いたら論理回路が焼ききれる。みたいな」
「それは危険すぎる。TO型が全滅してしまう」
クリーンセンター敷地内の、ロボットリサイクル施設へと二人を乗せた自動運転車は到着した。他の施設に比べ、セキュリティが厳しい様だ。トムによると、高額なアンドロイドやヒューマノイドの修理や廃棄、そしてパーツのリサイクルが行われる為、盗難を防ぐ目的で監視カメラも多いのだという。
「でも、泥棒って人間よね。人間が所有している機械のメンテナンスは公共福祉だから無料で利用出来る筈よ」
「ジュリー。極一部の人間は非合法のアンドロイドを売買する必要がありますよね?」
「あ~成る程。人間の臓器売買と同じか」
車から降りた二人は、セキュリティを通過し、管理室へと向かった。
管理室ではオペレーターが、モニターで監視をしている。その中の一人、髭の男が作業の手を止め、ジュリーとトムに挨拶した。
「ようこそ! ロボット再生工場へ。私は主任のブライアン・パーマーです。もう一人がデヴィット・ランチ」
「早速、現場確認出来ないかしら?」
髭面のブライアンは、ジェリーの依頼にまたかと、めんどくさそうな表情を見せると、案内を始めた。
「ここは完全無人の工場なんです。例え警察の方でも就業後でなければ中に入れません。それまで管理塔から説明します」
ブライアンはデヴィットに仕事を任せ、工場へと向かった。
管理室を後にするジュリー達を、デヴィットは陰気な目で見つめ、軽く会釈をした。
「なんだか嫌な感じね」
「彼の性格ですから勘弁してやってください。ああ見えても仕事は出来るので助かっています。近頃は人手不足ですからね」
近年、AIやアンドロイドの社会進出で、人間の技術者不足が深刻化している。医療技術の進歩によりほぼ不死とも言える寿命を得た人間は数を減らし、今回の様な事件は、社会に少なからず影響を及ぼす。
「ここが現場です。階段を降りなければ大丈夫です」
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