第3話
法律上結婚できる最低の年齢でさずかり婚でもしたのかという想像もできますが、私の推測ではただ単に夫婦そろって若く見えるだけなのではないのかと思われます。
そしてその高校二年生の娘が問題だったのです。
問題があるといっても、本人の人格や言動に問題があるわけではありません。
問題なのはその容姿でした。
足が長くて顔が小さく、全体的にやや細身にもかかわらず、胸のふくらみだけは人一倍あるという見事なプロポーション。
まるで白人のモデルでも見ているかのような体つきでした。
そしてその身体の上にある顔。これまた滅多にお目にはかかれないような美人でした。
しかも美人なのに冷たい印象はまったくなく、充分に愛嬌もあるという完全無欠と言っていいほどの美少女。
誰かが「アイドルになればいいのに」と言いましたが、その辺の並みのアイドルでは彼女には到底太刀打ちができません。
アイドルどころかモデルでも女優でも、余裕でやっていけるに違いない女神。
そういう存在なのでした。
しかし本人は芸能界というところにまるで興味がない上に、彼女の両親も、二人に言わせれば「あんな世界」に娘を進ませることを良しとしませんでした。
しかしそんな特級な逸材を、まわりがほおっておくはずがありません。
下柳の娘さん、名をまゆ子といって私はまゆちゃんと呼んでいましたが、そのまゆちゃんを目当てに、マンションの周りをうろついたり、時にはマンションの中まで入ってくる人がいました。
その多くはまゆちゃんと同世代の高校生でしたが、それ以外にも大学生、若い成人男子、はては中年男までがそれらの輪の中にいました。
それにくわえてかつてまゆちゃんを芸能界に誘って断られたのに、諦めきれずにいる芸能プロダクションの関係者が何人も。
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