第35話 変態高橋君
「あれって…。清華様と…生徒会長!」
映画館に行こうと、一人電車に乗っていた高橋は、一両前の車両に麗しの清華様とにっくき生徒会長が乗っているのを発見した。
私服の清華はレアだ。
高橋はスマホを取り出し、撮影を開始した。
それにしても、写したくないのに、どうしても生徒会長まで写ってしまう!
カシャカシャとシャッター音をさせている高橋を、回りは危ない人のように遠くから見ていた。
ああ、清華様!あなたはなんて可憐で清楚で美しいんだ!
制服姿も素敵だけど、あの細身のニット…なんてプリティなヒップライン!ウエストの細さは、オードリー・ヘップバーンさながらだ。
たった三駅で、百枚以上の盗撮をした高橋は、このまま清華達を追いかけるか、元来の目的である映画館へ行くか、苦渋の選択を迫られていた。
もうすぐ駅につく。
ここで降りねば、映画館へはいけない。
高橋の目的、それは映画を見ることではなく、映画館へ行くこと。
そう!映画館にくるカップルのウォッチングである。
特に隣り町の映画館は、カップルがイチャつく場所として有名で、嘘か本当かわからないが、ラブホテルの替わりに映画館へ行くカップルがいるとかいないとか…。
その噂を聞いてから、高橋は足しげく隣り町の映画館に足を運んでいた。
映画館の従業員からは、
「今日もトム君来たよ。」とか、
「出っ歯君よくお金続くね。」とか愛称(?)で呼ばれるほど、覚えられていた。
ちなみに、トム君はピーピングトム、出っ歯君は出歯亀からきていて、両方とも…ノゾキ魔みたいな意味合いを持つ。
クラス委員が変態扱いであった。
頭を抱えて悶える高橋の回りから、ほぼ人がいなくなった時、高橋の悩みは解消された。
高橋の目的の駅で二人が降りたからだ。
高橋は、マフラーを鼻まで巻き、二人の後をつけた。
まさか、まさか、まさか!
清華達は迷うことなく映画館を目指し、座席指定の手続きをしている。
清華様が…、僕の麗しの清華様が、生徒会長なんかとイチャイチャしにくるなんて!
高橋の頭の中では、映画館≠映画を見る場所であり、映画館=カップルがイチャつく場所であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます