第5話 3泊4日の外泊は徘徊を招く。

先月2泊3日の外泊を試みた妻ユリ子、今度は1日増やして3泊4日をトライしてみた。


病院から自宅まで、30分足らずの道程だったが、別段の事も無く、終始落ち着いていた。


日中は、裏の公園への散歩、後は所在無く、新聞を読んだり、テレビを見るでもなく、横になってうとうとしていた。

処方された薬を彼女任せにしたが、処方通り服用できず。時期を重ねて服用したりして、コントロールが乱れた。


今回は、何を考えているのか、午前中、眼を離した隙に、勝手に外出し、一度目は止む無く110番通報した途中、マンションの清掃管理の係の方が、妻を見つけて連れ帰ってくれた。

2度目は、勝手に出て行った彼女を追って、駅の方へ行きかけたのを見つけて連れ帰った。

昼間は兎も角、夜間、就寝中、トイレへ起きたかと思っていると、何時までもトイレから戻らないので見に行くと、パジャマのまま勝手に外出して、それでも公園へでも行ったか、探しに行った私が途方に暮れていると戻って来た。

夜中の徘徊止めは、私が気付いて追いかけて連れ戻した。


これではとても安心して寝ても居られない、そう思って、私は洗面所で使っている座席部分の高低が調節できる頑丈な椅子を、玄関の上り口に横たえて、重いのをどかさなければ出て行けないのと、どかすには音もするからと思って置いたところ、彼女は、横たえた頑丈な椅子が、怪獣か何かに見えるのか、怖いからどかしてくれと泣いて訴えた。

そんなことで、外への徘徊を停めることが出来たが、翌日、排便のコントロールが乱れたか、トイレで便座に腰を下ろす前に大便を漏らしてしまった。

こんなことが無ければ、彼女は正常に見えるのだが、頭の中で何を考えているのか、それでも、第一生命保険の預金引き下ろし請求書にサインし捺印も、問題なく係員と会話しながら済ませた。

どこか、頭の中の思考回路が外れているのか、昼間と夜の徘徊は、彼女の頭の中ではどんな考えがうごめいているのか、聞いても返事が無いので、今後、自宅での介護に不安を覚えた。

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