第7話 怒張と屹立

スズキの身体に異変がおこった。極めて強烈な地響きがスズキを襲った。痛いまでの地表の隆起、勃起が彼を襲った。Gパンはパンパンだ。硬いデニム生地も彼の怒張に逆らうことはできなかった。あの優秀なYKKのファスナーも、猛烈に押し上げる欲棒の前では無力であった。弾け飛ぶファスナー、張り裂けるデニム生地。青色の大地に褐色のエネルギー体が屹立していた。スズキを取り押さえていた黒服たちは言葉を失っていた。スズキも言葉を失っていた。スズキの目の前にそびえ立つスズキ自身に、スズキは畏怖した。同時に、どこか懐かしい、あたたかい気持ちにも包まれていた。禍々しい唸りをあげる彼にスズキは以前出会ったことがある。14年ぶり2回目の邂逅だ。スズキは18歳の夏に、彼とは一度出会っていたのだった___。

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