第4話 イカとネチャネチャと私

「やあ、よく来たね。おじちゃんはね、この川の流れと貴方達、子供の未来と川の流れの相関関係に想いを巡らせていたのだよ。ゆっくりと、しかし確実に流れゆく川の流れは時の流れを示している。誰にも止めることはできない、悠久の営みを僕達人間に示してみせている。その先には何があるか。広大な海だ。留めることができない流れだったはずが、いつかは広大な海へと達しその流れを止める。膨大なエネルギーは広大な海へと発散していく。時の流れも、広大な海、すなわち宇宙へと発散していくのではなかろうか。おじちゃんはそう思う。」などと、それっぽい話をバリトンボイスで語りたかった。実際は「あぶ」と言っただけであった。スズキと美少女の間に不穏な空気が流れた。少女は走り出した。スズキも走り出していた。少女とは真逆の方向に向かって。おじちゃんは生のイカをパンツに入れている。どう思う?見てみる?そういう率直な回答はこの場ではふさわしくなかった。スズキは走った。少女のあどけない表情とイカのおどけた表情が脳裏に交錯しながら___スズキは走った。イカがパンツから抜け出した。ズルリ、とパンツの拘束から解放されたイカはスズキの履いたGパンと膝裏の間に収まっている。走るたび、膝を曲げるたびに、ネチャネチャとしたイカの感触がスズキを襲う。

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