第4話 第三は静かに逝く
「第二の戦力は今や半壊していますが、なかなか有用な情報を送ってきています」
ユリウスの目の前で、水晶球をのぞき込みながら、黒いローブを纏う壮年の男、『全知の軍師』ルキウスが抑揚の無い声で言った。
「ネルファも彼女が体内に封印していた魔王と融合していますね。制御はできているようですが、彼女の体が持つのがあとどれくらいか……もっとも相手が魔神だけに、潰されるのが早いとは思いますが」
彼の抑揚が無いのは、絶望しているからではない、感情が無いからだ。
感情は思考の毒であるため、幼少期に消し去ったのだと、ユリウスは彼から過去に聞いたことがある。
今彼は、その全知を以て、第二から魔力通信で送られている魔神の情報を解析しているのだ。
「む……全反応が消えました。通信途絶。でもよく頑張ってくれたものです。おかげで、解析は完了しました」
こともなげに言う。
ユリウスは、儚く散ったネルファのことを思い、胸を痛めた。
「あの魔神の属性は、無ですね。十年前の魔神が全属性だったのとは対照的です。これは面白い」
「結局有効な攻撃方法は無いってことじゃないのか?」
「ええ、ですので『消滅魔法』を使います。ユリウス殿は第四に退去されよ」
「ルキウス、あんたはどうするんだ?」
「第三の結界は厚く作られています。消滅魔法の指示はここからでないとできません。それも効かなかった場合の対応もありますので、お気になさらぬよう。これもお役目というもの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます