シャワーを浴びながら、ご機嫌で唄う。


水の流れる音。

流れる音楽。

お風呂場で流れる君の声。


響くから気持ちいいんだよねえ~


タオルで頭ガシガシ拭きながら、そんな事言ってご満悦。


僕は知ってるよ?


ご機嫌を装い、君が流す涙を。


人前では、絶対に涙を見せない。

いつもニコニコ笑って、どれだけキツくてもそんな素振りすら見せない。


バランスを取るのって難しい


そんな事言って、ちゃんと自分でバランスの取り方がわかってる。


僕は、いつになったらそんな君の泣き顔を見れるんだろう……。


いつ、僕にだけは本当の君を見せてくれるんだろう……。


まだ僕は頼りないのかな?

まだ君を受け止めきれないのかな?


大丈夫だから。


独りで自分のバランス取らないで、僕にも手伝わせて。


そんな君の歌声を聴きながら、今日も僕は君に心の中で伝える。


その流す涙を

いつか僕にだけは見せて……。



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『作品名は、アナタが付けて下さい』 曼珠沙華 @pissenlit

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