第25話 諦めの境地
最後に残ったアプリは『ISLAND』だ。開いてみる。
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ISLAND
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>ステータス確認<
>アップデート情報<
アプリ画面には、二つの項目が表示されている。
まず、>ステータス確認<をタップしてみた。
画面が切り替わる。
何やら、横線の棒グラフのようなものが二本、伸びている。
ガソリンの残量表示を思わせる。
上の一本は満タン状態だが、下の一本は80%程度の長さになっている。
何か意味があるのだろうが、現時点ではよくわからない。
もしかしたら、俺の体力や戦闘力などの数値を表示しているのかもしれない。
二本の棒グラフの下には、いわゆる“バイタルサイン”らしき数値が表示されている。
T:36.8℃
P:68/
BP:128/76
R:17/
今現在の俺の? 体温、脈拍、血圧、呼吸数をそれぞれ表示しているだろう。
再びSMSの着信音が鳴った。
“新着メッセージ 2件”
とポップアップが表示される。
まだ無視することにした。俺はまだ怒っているのだ。
前の画面に戻り、次は>アップデート情報<をタップしてみた。
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アップデート情報
4/1 ゲームスタート
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今のところ画面に表示されている情報に、特に有用なものは無いようだった。
アプリ『ISLAND』は、現時点では俺に必要な情報は無いように感じる。
俺はアプリを閉じた。
三たびSMSの着信音が鳴る。
“新着メッセージ 3件”
ハリヤマを無視し続けても、得はないことはわかっていた。
いつまでも意地を張っていても仕方がないかもしれない。
とにかく、この世界で無事に切り抜けていくための方法を、ハリヤマと連絡をとりながら模索していかなければならないのではないか。
六ヶ月待てと、先ほどハリヤマはそうメッセージを送ってきていた。
六ヶ月も待たされるなんて冗談じゃないが、少なくともこれからしばらくの間、俺はこの世界で過ごしていかなければならないようだ。
諦めの境地に達したところで、俺は再びSMSを起動し、ハリヤマから届いているメッセージを確認した。
◆『お怒りの気持ちはごもっともです。
このような事に巻き込んでしまい、本当に申し訳ありません。
ところで、こんな事はどうでも良い事かもしれませんが、現時点でも、お約束した時給は発生しております。
謀らずともタカハシさんの肉体を長期間拘束してしまうことになりますが、お約束どおり、時給を計算してお支払いいたしますので、その点はご安心いただければと思います』午後4:25
◆『ちなみに、今計算いたしましたが、もしタカハシさんを六ヶ月間、拘束する形になったとしますと、時給三千円で二十四時間が、百八十日連続することになりますので、報酬の合計金額は千二百九十六万円となります($)』午後4:32
◆『タカハシさーん、機嫌をなおしてくださーい!!』午後4:35
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