第24話 地図アプリ



 ハリヤマからのメッセージが表示されたスマホの画面を茫然と見つめていた俺は、とうとう怒りを我慢できなくなり、スマホを地面に思い切り叩きつけた。



 そして立ち上がり、両手を振り回しながら怒りの雄たけびを上げた。

 何度も地団駄を踏んだ。

 腹が立つ!



「死ね! ハリヤマ! 地獄に落ちろ!!」

 そう口に出して憤った。



 しばらくの間怒りに身を任せていた。



 ふと我に返り、後悔し、慌ててスマホを拾い上げた。


 良かった、壊れてはいないようだ。



◆『タカハシさん?』


◆『大丈夫ですか?』


 ハリヤマからメッセージが届いていたが、しばらくの間、返信はせずに無視を決め込むこととした。



 気持ちを落ち着けるため、一度SMSの画面を閉じることにした。

 スマホはホーム画面の表示に戻る。



 時刻は、午後四時を回っていた。

 マケラとノーラのことを思い出した。日が暮れるまでに屋敷に帰らなければ。



 しかし、まずはこのスマホだ。とりあえず、SMS以外のアプリを試してみることにする。


 最初に、『マニュアル』というアイコンを開いてみた。


++++++++++++++

ISLAND 操作マニュアル

++++++++++++++


 作成中(随時更新予定)




 まだ、『マニュアル』の中身はできていないようだ。

 仕方がないのでアプリを閉じる。




 次に、『MAP』というアイコンを開いてみた。


 スマホの画面上部のステータスバーに“GPS”というアイコンが点滅表示される。

 しばらく後に、地図が表示された。


 どうやら、この世界の地図のようである。

 中心部に赤いマークがついている。

 おそらく、この赤いマークが現在地点なのだろう。



 現在地は、森の内部を横切る道の途中である。

 道を西になぞっていくと、村のマークがある。トンビ村だろう。

 道を東になぞると、幾重の標高線で構成された凹型の地形が続いている。

 おそらく、これがヤブカラ谷を示しているものと思われる。


 ためしに、表示されている地図上に親指と人差し指をのせて、つまむように動かしてみた。

 地図はその動きに反応して、現在地点が縮小表示され、より広い範囲を表示した。

 ピンチイン、ピンチアウトをすることで地図の縮尺は自由自在にできるようだ。

 ちなみに、ヤブカラ谷のさらに向こうは険しい山地となっていて、その入り口にドクロのマークがついている。

 これがダイケイブと言われるダンジョンの入り口か?

 今いる森から遥か南へスワイプしていくと、アリアンナ街道が東西に延びているのがわかった。




 地図アプリを試していると、SMSの着信音が鳴った。

 “新着メッセージ 1件”

 とポップアップが表示される。


 ハリヤマがメッセージを送ってきたようだが、俺は無視することにした。

 俺は怒っているのだ。


 とりあえず地図アプリの使い方はわかったので、いったんアプリを閉じる。


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