第22話「オペレーション・キャッスルダウンその2」
Side 日本 航空自衛隊 コールサイン ウェザーリポート
ナイトアイの解析データーを全機に通達する。
解析の結果、あの浮遊城のエネルギーの流れが解析された。
浮遊城の底面に伸びる大きな細長い銀色のピラミッドと城の間に挟まる大きな球体。
その真上に動力炉があるのだろう。
まずは底面の球体部分を破壊して動力炉の道を形成し、そして戦闘機隊で全て破壊する。
☆
Side 日本 航空自衛隊 レイヴン1 川西 幸斗 二尉
『つまりそこに全火力を集中して破壊すればいいんだな!?』
『言うのは簡単だがあの浮遊城、設計者がしっかりしていたのか底面も砲台だらけだ』
『それでもやるしかないだろう』
戦闘機隊の面々が口々に言う。
『残された時間は五分もない。検討を祈る』
ウェザーリポートがそう言うが
『上等だ!!』
『やってやるよ!!』
『これで決着つけてやる』
と、皆強気だった。
『地上部隊、最後の抵抗を試みる』
『我々海上部隊もだ。全弾撃ちこもう』
他の部隊もだ。
『こちら地上部隊。異世界陣営も部隊を再編して攻撃を試みるつもりだそうだ。止めようとしたが止められん。当てるなよ!』
異世界陣営も座してくたばるつもりはないようだ。
☆
Side バルニア国王 アブレア王
「敵が城の底面に!!」
「魔導炉の位置を特定されたようです!!」
周りの側近達が悲鳴のような声をあげるが――
「進路をそのまま。最悪この城をぶつけてでも葬り去る」
「ですが――」
「ですがもなにもない!! ここで決着をつけねば我々も後がないのだ!!」
アブレア王は一括して黙らせる。
☆
Side 日本 航空自衛隊 レイヴン1 川西 幸斗 二尉
砲火を搔い潜りながら城と球体の接続面。
そこに集中攻撃を食らわせる。
幾ら頑丈でも第三次大戦を得て外宇宙の超テクノロジーの攻撃だ。
バリアを突破するのに疲弊してはいるが何発も持たないだろう。
『切り離し完了!!』
『動力炉と思わしき場所を確認!!』
『全戦闘機隊は全火力をそこへ!! 時間はないぞ!!』
『了解!!』
全ての戦闘機が浮遊城の真下に素早く潜り込み、そして城の底面へ急上昇。
対空砲火で脱落する機体も何機が出た。
「次は俺達の番だ!! いくぞ!!」
『はい!!』
そして次は川西二尉、桜木三尉のレイヴン隊のペアだった。
ミサイル、レーザー、実体弾――全てが真上の動力炉に吸い込まれていく。
対空砲火も激しいが他の部隊の攻撃でかなり削れている。
「とどけえええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
川西二尉は全てを撃ち込む。
☆
Side バルニア国王 アブレア王
「魔導炉が制御不能!!」
「王よ、脱出を!?」
周りの側近達が言うが。
「もう遅い」
達観した態度でアブレア王はこれから待ち受ける運命を受け入れた。
「列強国よ。恐れるがいい。日本は強いぞ・・・・・・お前達が考えているよりも遥かに・・・・・・ふはははははははははは!!」
そして浮遊城は爆炎に包まれた。
☆
Side バルニア王国 メルシア
「浮遊城は陥落したか・・・・・・」
遠くで小爆発しながら急速に落下していく浮遊城。
それを観たメルシアは自分達の敗北を悟った。
同時にバルニア王国の進退を考えなければならない。
副官のリアラはこの後、なんて言うのかを予測していた。
「あの様子では国王は生きてはいないだろう」
「我々はどうすれば?」
「降伏するしかあるまい――ここで戦い続けても他の列強国やその地位を狙う国々に食い荒らされるだけだ――カラミス王女辺りはまあ運が無かったと諦めてもらうしかないな」
「・・・・・・私達はどうなるんですかね?」
「さあな・・・・・・」
メルシアはそう言うが思考をフル回転させながらどうにかマシな結末を選ぶべく考える。
☆
Side 日本 航空自衛隊 レイヴン1 川西 幸斗 二尉
戦闘機隊が基地に帰還した時はガソリンも弾薬も空だった。
だがこの手の状況は第三次世界大戦の時もあったので整備班には頭が下がる。
ここの基地はいわゆる仮設段階の基地であり、北に延びていく戦線に対応するために一先ず作られた場所だ。
やる気があっても物資がなければ戦闘機は戦えないし、飛べもしない。
たぶんここの仮設基地は整備待ちの戦闘機だらけになるだろうなと思った。
「これで戦争は終わるんでしょうか?」
「バルニアとはな。だがまだ続くだろう。いわゆる覇権主義国家が多いみたいだからな、この世界。それに謎の敵の存在もある。当分飛び続けることになるぞ」
「そうですか・・・・・・」
「ああ――」
☆
その後、バルニアは降伏。
一先ず休戦条約が結ばれ、終戦のための交渉が始まることになる。
この辺りは政治家達の仕事である。
かくしてガーデニア大陸東部沿岸部で起きたこの戦いはこうして終結したのであった。
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