第21話「オペレーション・キャッスルダウン」

 Side 日本 航空自衛隊 コールサイン ウェザーリポート

 

 最初の賭けには勝ったようだ。


 バリアが無くなり、通常兵器が有効になったようだ。


 しかし此方の火力も限られている。


 作戦の目的は敵の浮遊城を破壊、最低でも戦闘能力を奪うことだ。

 

 我が国だけで無く多くの国の将兵の命が掛かった作戦だ。


 必ずやり遂げて欲しい。


 なお、緊急時ながら遅れたが本作戦名はキャッスルダウンと名付けられた。

 


 Side 日本 航空自衛隊 レイヴン1 川西 幸斗 二尉


「どうやら最初の賭けには勝ったようだが・・・・・・」


 敵も死に物狂いで、指揮官も勝負所だと考えているのだろう。

 

 全ての敵が後退。


 特に敵航空戦力は城の防御に徹し始めた。


『イージス艦那珂も残った火力で道を切り開く!!』


『こちら地上部隊。出来うる限りつゆ払いはしてみせる!!』


 陸上自衛隊、海上自衛隊も残った力で浮遊城に攻撃を再開し始めた。

 勢いはないが無いよりかはマシだ。


『大きいとは思ってたけど、こうして近くで見ると――』


『ああ。なんつー大きさだ』


 浮遊城は周囲をトゲが付いた金色のリングに覆われ、真下は細長い銀色のピラミッドのよう人工物があり、城の部分とは丸い球体を挟み込むように接続されている。


 上面はまるでお伽話に出てきそうな綺麗な城壁と庭付きの城。


 周囲には銀色の紋章がついた石版らしき物が浮いている。


 そして金色のリングや紋章がついた石版、城からレーザー兵器らしき対空砲火が飛んでくる。

 

 その合間に城にいるサイクロプスやレッドドラゴン、そして城の周囲を飛び回る飛行機械やドラゴン、ペガサスなどに乗った兵士達、城壁にいる魔法使いらしき集団の迎撃が飛んでくる。


 対空砲火の勢いは思った程ではないがそれだけ弱っていると言うことだろう。

 どちらかと言うと城に置かれた戦力の方からの攻撃が激しい。

 

 こちらの火力も限られているのでかなり厳しい状況だ。


 最悪体当たりしてでも止めないといけない。


『ウォーシャーク隊は攻撃を待機。スキャン完了するまで持ち堪えてくれ!!』


『了解、早めに頼むよ!!』


『サイクロン隊、レイヴン隊は脅威目標を片っ端から排除しろ!!』


『こちらサイクロン隊、了解!!』


 俺も『レイヴン隊、了解!!』と返した。

 


 Side バルニア国王 アブレア


「きおったか・・・・・・」


 玉座の前に置かれた巨大水晶に高速で飛び回る飛行機械が映し出す。

 激しい砲火に晒されながらも此方に攻撃を繰り返す。

 そのたびに城が揺れる。


「命令は変わらん。全戦力を持って迎え撃つがよい――」 


「は、はっ!!」

 

 敵も後がないように思える。

 恐らくこの数分以内にこの戦の雌雄が決する。


 ならばどんな犠牲を払ってでも勝利をしよう。


☆ 


 Side 日本 航空自衛隊 レイヴン1 川西 幸斗 二尉


『ダメだ!! 適当に攻撃しても埒が明かない!!』 

 

『解析はまだか!?』

 

 悲鳴のような無線が聞こえる。


 弾だけではなく、燃料だって限りはあるのだ。


 外宇宙テクノロジーで大幅に作戦行動時間が長くなったとは言え限度がある。


 このままでは作戦失敗。


(一か八か城に攻撃を――)


 そう思った矢先だった。


『こちらナイトアイ。至近距離からデータスキャンをしてみる』


 ナイトアイは電子戦機であるがその気になれば現行の戦闘機並みの速度は出せる。

 だが相手はSF兵器の領域にいる相手で危険を伴う行為である。


『無茶だ!! よせ!!』


『引き返せナイトアイ!!』


 仲間達が引き留める観測を続行。

 至近距離で飛び回る。

 当然敵の目もナイトアイに向かう。


『レイヴン1、支援する――』


 俺はナイトアイを支援するべく、可能な限り弾幕を引きつけようとした。

 

 俺の意図を悟ったのか何機もナイトアイや俺に続く。


『こちら――ナイトアイ。近距離データースキャンを完了。多少被弾したがウェザーリポートに送る』


『此方ウェザーリポート。戦線離脱を許可する。よくやってくれた』


『こちらナイトアイ。作戦成功を祈る――』


 そう言ってナイトアイは煙を上げながら戦線を離脱。


 続いてデーターが空中管制機ウェザーリポートから送られてくる。


『ここからが本番だ――』


 ウェザーリポートの言葉と共に、オペレーション・キャッスルダウンは最終局面へと向かう。

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