第19話「浮遊城撃破作戦」

 突如として現れたバルニアの古代兵器 浮遊城。

 

 それによりユリシア王国を中心とした連合国軍。


 さらには自衛隊までも苦戦を強いられていた。


 一度はヘルダイバーズやイージス艦那珂などの参戦で状況を持ち直したが・・・・・・


 Side 日本 航空自衛隊 レイヴン1 川西 幸斗 二尉  


 自衛隊 ユリシア王国 北部国境線 臨時基地


 夜の暗闇の中で人々が臨時基地内を慌ただしく動き回る。


「リアルタイムで浮遊城の進行速度や進行方向を報告しろ!!」


「最悪前線をもっと下げなければいかん!!」


「空軍連中の補給を急がせろ!!」


 とても慌ただしい状況だ。


 パイロット連中も整備を手伝っている。


(とにかく急がないと――出来るだけ時間を稼いで――せめて陸上自衛隊の連中の到着まで時間を稼がないと)


 イージス艦の攻撃にすら耐えるオーバーテクノロジーで戦艦級の火力を持つ浮遊要塞が相手だ。


 まだまだこの世界を甘く見ていたらしい。



 Side 陸上自衛隊


「本当に城が浮いてやがる・・・・・・」


「戦艦並の火力とイージス艦の攻撃に耐えうる防御力・・・・・・我々の手持ちの戦力でどこまでやれるか・・・・・・」


「とにかく攻撃不能にまで追い込めば――」


 陸上自衛隊の面々も双眼鏡をのぞき込んで遠方に浮かぶ城を目撃する。


 後先考えない猛スピードの進撃だった。


「まだ攻撃はするな!! 射程には遠すぎる!!」


「イージス艦の攻撃すら耐えるような奴だ!! 一斉に攻撃してようやく突破できる可能性を忘れるな!!」


 戦意を奮い立たせ、陸上自衛隊の隊員達は突き進む。



 最新鋭練習艦 撫子艦長


 まだ年若い女艦長が乗る撫子もイージス艦那珂と入れ替わる形で攻撃を開始していた。


 アンノウン――未知の敵の対策として戦力増強として練習艦すら戦闘配備して送り込んでいたが功を奏していた。


「艦長!! 敵の進行速度及び、バリアの減退を確認!!」


「このまま作戦を続行! 第一目標は浮遊城! 第二目標は追撃をかける敵軍! 味方への通信報告を密にして! とにかく時間稼ぎを優先して!」


 クルーの報告に美人女性艦長がそう返す。


「艦載機発進! 敵の迎撃に入ります!」


「艦前方に浮遊城の攻撃着弾! 直撃すれば我が艦でもタダでは済みません!」


「敵にステルス機能は効くのかこれ!?」


 クルー達も悲鳴を挙げながら操艦に集中する。


「それでもやらねばなりません! 最悪此方の砲が届く距離まで近付きます」


「りょ、了解!!」



 Side バルニア王 アブレア


「想像以上ですなこの浮遊城は」


「しかし敵も中々粘りますな」

 

 と、バルニア王を中心とした重鎮達が玉座の間に居並んでいた。

 浮遊城の凄まじさに驚きつつも、それに対抗できる日本の連中にバルニアの重鎮達も舌を巻いていた。


 しかしアブレア王は表情を変えずに攻撃の続行指示をしていた。


「いま下がって態勢を整えさせれば敵は反撃に転じる。そうなればこの浮遊城を持ってしても勝機はなくなる」


「了解しました――」


 その決断に誰も言葉を返さなかった。

 首脳部達も何となく同じ事を感じていたようだ。


「メルシア艦隊も敵の艦に攻撃を開始――」


「魔導炉に負荷が掛かっています――」


 と、この城の操作を蒔かされている魔導師たちが報告をあげる。


「攻撃は続行だ。多少被害は出しても構わん。レッドドラゴンも”全て”投入しろ」


 以前、ミズリの港町で投入したレッドドラゴンの投入を決断した。

 正に総力戦である。



 Side 角谷陸将


 ユリシア王国のミズリの港町。

 そこに建築された自衛隊の基地。

 

 居並ぶ将兵を前に角谷陸将も現地からの報告や詳細画像を受けて腹を決めることにした。


「持てる戦力を全て投入してあの浮遊城を撃破する――そうしなければ最悪我々は全滅するぞ」


 と。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る