六 施策
男には妻がいたが、子供はいなかった。
家がある街は、交通の便に優れていて、空港からも、そう遠くない。だが、忙しくて、ほとんど帰っていない。
浮き島を作るため、世界各国を飛び回り、公的機関や、民間企業に掛け合ってきた。苦労したのは資金集めだった。はじめは広告用の看板作りの手伝いもした。自分の足でポスターも配った。
名目は、ごみのリサイクルだった。
大量の超安定物質を陸に置いておくため、ごみを捨てる場所が減った。そのごみを使い、島を作るのだ。
元々、土地が低く、温暖化による海水面の上昇や浸食の被害が心配されていた場所は、話が進んだ。今では住宅だけでなく、日用品や食べ物を取り扱う店、倉庫や工場が建てられ、畑も作られている。
穴は二つとも自国の中にあった。そのため、超安定物質の利用には積極的だった。自分が、全く手を付けていない分野だ。冷却剤や保温剤、重しとして。単純だが、使い方はある。当初は避ける人間も多かった。だが、価格が安いため、今ではそれなりに受け入れられている。
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