第2話

「ねえ自殺くん」

「名前知らないからって変なあだ名付けないでほしいな」

「なんで自殺くんは自殺したいの?」

「僕の話聞いてた?

理由は…そうだな。現実が辛い訳じゃないけど、つまらないから死にたいっていうのが適切かな。」

そう。

僕はいじめを受けたから死にたいとか、そんな理由で自殺したいわけではない。


見当違いな同情をされたくないので仕方なく答えてあげると、彼女はへえへえと言った。

何だへえへえって。


「じゃあ私が君を殺させないようにするね」

唐突な彼女の言葉にフリーズする。

「…僕の耳が壊れたか君の日本語が間違ってるのかもしれない。今なんて?」

「君を、殺させないって言ったの。もーっ乙女の言葉は一度で聞いてよね」


いや何回聞いても理解できねーーーー何言ってんだこいつ。

そもそも僕は死ぬのであって殺されるのではない。


キーンコーンカーンコーン

「あ!鐘鳴った!私帰るねバイバーイ」

「ちょ」


嵐のように過ぎ去った彼女が出てった扉をただ茫然と見つめる。

初めて話した彼女はいわゆるコミュ障な僕にとってあまりにも脅威だったし、

これからとてつもなく面倒なことに巻き込まれそうな予感がしてならなかった。


こういうのは忘れるべきだ。

次話しかけられても知らない人のふりをしよう。


だがそう考えている脳裏の隅には、“殺させない”と言った時の彼女の妙なほどに真面目な顔がちらついていた。

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