一区切り 5

「少しボンの力になりたい」

 サエを抱きながら昨日の夜の店の様子を話す。どうも本店の板長が従業員をまとめているようだ。

「一度フミコからも話を聞いてくれ」

「分かった。ボンにはお世話になってるものね」

 事務所に出ると小頭に会いに行く。組事務所には入らず喫茶店に入る。

「地上げビルの件なら組に来てくれたらいいのになあ」

「その報告もある。あの周りはやはり若頭が買うことで貸し付けをすることになった。ビルの購入は指値することになったよ。数字が決まったら組長に報告する」

「何か話があるようやな?」

「ああ、ボンの店のことなんだが、親父が倒れてどうも本店の板長がボンを追い出そうとしている。どうも板長だけの動きではないように」

「あの店はなあ。この辺りでは小金持ちで知られているさ。とくに新世界ではいい場所に店を4軒も構えている。欲しがっている店も多い。それにあそこはうちの組の敵対している組と親しい。一度調べてみるわ」

 小頭は色々な店の面倒見がいい。貸付に際しては私も意見を貰っている。

「それとなあ。そちらの番頭が執行猶予でその組の世話になっている。これは姉さんから調べを頼まれている。どうも親分の病院に出入りして金をせびっているようや」

「知らないうちにいろいろあるんですね?」

「街の情報はいくらでも入る」







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