第4話 ギャンブル
その先輩はなぜか自分のことを知っていて、中学が同じで後輩の自分の顔を見たことがあると言っていた。
同じ元中学だったので盛り上がり、すぐに仲良くなった。
そして、バイトの給料を初めてもらった日に遊びに行こうと誘われた。
断る理由もないからついていくと、そこはパチンコ店だった。
絶対負けるから使いたくないと先輩に言ったら1000円だけやろうぜと言われて、渋々やることにした。
そしたら、500円が1万円になった。
バイト2日分を一瞬で稼いでしまい、パチンコすげー!と心が踊った。
そこからパチンコにハマってしまう。
ハマってから一ヶ月の給料がなくなるまで2週間しか持たなかった。
「本当になんて俺はアホなんだ・・」
ものすごく後悔した。
先輩にそのことを話したら
「俺も負けてるよ」
負けてるなら誘わないでくださいよ!と怒りながら言った。
先輩はパチンコがとにかく好きで、一緒にやる人を探していたらしいが、自分は生活がかかってるので負けたくないからもうやらないと話をした。
すると、パチンコ雑誌を渡してきた。
ここに勝てる秘訣が書いてあると言ってきた。
読んでみたら、専門用語だらけで書いている内容がよくわからなかった。
だが、そこに勝てる秘訣があるらしい。
パチンコに勝った時の喜びが忘れられない自分はパチンコについて勉強することにした。
パチンコとはなんぞや?どういう仕組みなのか?どうやったら勝てるのか?いろんな雑誌や本をとにかく読んでみた。
今まで、集中して読んだ本は漫画ぐらいしかない自分だったが、読んでいくうちに夢中になった。
そして、パチンコが打ちたくなった。
ただ、やるなら自分にルールを決めて打つことにした。
まず、投資金額を設定した。
これをやらないと負けた時に生活費がなくなって飯が食えなくなる。
そして、甘い台、勝てる台を見つけること。
ここが最初の難題だった。
そもそもずっとパチンコで勝ってる人はいるのかな?という疑問から始まり、いつもいくパチンコ店に行き、出てる台や人を観察することから始めた。
すると、あることに気づいた。
週4日ぐらいでお店に来る人で必ずドル箱を積んでいるじいさんがいる。
羽根モノと呼ばれるチョロチョロ玉を出すタイプのパチンコ台で2箱ぐらいになるといつもやめてしまう。
家に帰っても、学校に行っても、バイトしてても、そのじいさんのことが気になり、思い切って話しかけることにした。
「なんでいつも勝ってるんですか?」
コーヒーをプレゼントして聞いてみたら、台を指差した。
「この台と隣の台の違いがわかるか?」
全く同じ機種で違いといえば、釘の調整しかなかったから釘と答えた。
すると、じいさんはうんうんと頷いて、話し始めた。
「パチンコで勝ちたいならそれなりの知識がいるぞ」
それからそのじいさんの弟子になった。
弟子と言ってもこっちが勝手にじいさんが来る日に合わせて自分もお店にいくだけだった。
会ったら必ず色々教えてもらった。
お店が出したい台を理解してそこに座りなさい。
お店の出す日と回収日を知りなさい。
など、とにかく色んなことを教わったが特に大事なのが、パチンコ台の話ではなく、お店に対してのことだった。
今まで、台に対してしか興味がなかったが、よくよく考えれば、お店が出さないと決めたら出るわけがない。
根本的なことがわかってなかったと師匠に礼を言った。
その日からパチンコで勝つために徹底的にやろうと決めた。
学校をさぼって、朝四時から友達と店舗の前に並んで新台入れ替えの日を狙ったことがあった。
オープン直前に先頭に並んでた自分達に近寄るオラついた三人組がいた。
そして、いちゃもんをつけ始めてきた。
「おい!そこのガキ!そこどけや!」
自分は下を向いて無視した。
友達は走ってどっかにいってしまった。
「お友達はどっかにいったぞ?ボコられたくなかったらそこどけや!」
とにかく下を向いて無視した。
すると、ガラガラと店舗のシャッターが開く音がした。
それと同時に自分の頭をシャッターの隙間に突っ込んで店舗に入ろうとしたら
「こら!またんかい!」
さっきの三人組が自分の足を持って引っ張ってきた。
その引っ張った手を蹴り飛ばして、店舗に入り、全速力で新台の端から3台の釘をチェックした。
3台の中で一番よかったのは、端の台だったのでその台に座った。
新台はパチンコ10台とスロット5台だったが、さっきのチンピラ達はスロットの方に行っていた。
少したってから友達がきた。
怖かったから逃げてしまったことを謝ってきた。
全然気にしてないよと言ったら、逃げなかった理由を聞かれた。
「生活のために新台を朝から並んでるのにあんな奴に順番を渡せるわけがない」
友達にそういうと、パチンコに対する執念が違うなと笑ってた。
台は満席で座れないから友達は帰っていった。
パチンコを打ちながら思った。
自分の性格は負けず嫌いだ。
多少の災難ぐらいあっても気にしない。
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