第4話 キタキュウマンは最強ばい

 ごく普通の高校に通う、ごく普通の高校生、愛野あいの あかり


 でも、ある日、目が覚めるとお布団ごと異世界に!


 と思ったんだけど、実はそこは北九州でした!


 しかも、私はどうやら成人式の生贄に選ばれているみたい!


 大変!大変!


 しかも、標準語がバレて、モヒカン達に不発弾で爆破されそうになるし!


 ほんとメチャクチャだよ…


 これから私は一体どうなるのかな?


「おい!明!」


「おい…大丈夫か!?明!」


「おい!」


 あれ、蓮くんの声…


「あっ!!」


 ガバッと起き上がる私。


「なんだ〜、夢か〜。」


「随分うなされていたぞ…大丈夫か?」


 どうやら、私は夢の中で昨日の出来事を復習していたみたい。


 そっか…


 昨日は蓮くんの横で寝てしまったんだった…


 この、スペースワールド遺跡にて。



 ※ ※ ※ ※ ※



 私達は再び小倉こくらへ向かって歩き出した。どこも殺風景でつまんない。


 そんなことより私、昨日から同じパジャマ着てるんだけど臭わないかな?お風呂も入れてないし。


「そろそろ…キタキュウマンが占領しと〜領地のはずばい!気をつけんとね!」


 キタキュウマン?


 確かツイッターで見たことがあるぞ。中の人がツイッターでアカウントを作っていたのを私は記憶している。


 でも、占領している領地ってどういうこと?あんなコスプレをして、この辺を支配してるってこと?


 だけど、そんな疑問はすぐに解けた。


 なんと、前方から首輪を嵌められた男達が、岩を運ばされながらこちらに向かって来ているのだ。


「ひゃっほ〜〜!!!聖人式に間に合わんくなるけ、早く岩を運べ〜〜!!」


 奴隷に鞭を入れるモヒカン。なんて酷いモヒカン!


「ん?お嬢ちゃ〜〜ん、変わった服装しとるやんけ〜〜!?どこの組のもんだ〜〜!?」


 しまった、やはり北九州でパジャマ姿だと特に浮いてしまう。


「あっ…わ…私はキタキュウマン組の…者です…ばい…ばいちゃ!」


 いけない!


 咄嗟に訳の分からない嘘をついてしまった。しかも、意味不明な北九弁まで使ってしまったよ!


 蓮くんも後ろで固まって石になっている!ごめん!


「ひゃっほ〜〜〜〜!!お嬢ちゃん、でたん怪しいばい!!?キタキュウマン様ぁ〜〜!!怪しい女がここにおりますばい!」


 え〜〜〜〜!!キタキュウマンいるの!?そんな近くに!


 はは、私の人生終わりだな。


「ハッハッハ!どうした、モヒカンよ!呼ばれたけ来たば〜〜い!」


 本当にツイッターで見たことあるヤツだ!!遠くから私達の所まで走ってやって来た。


「キタキュウマンさま〜〜!?この女、もしかして、今年の聖人式の生贄じゃないかと思ったけお呼びしたんやけど〜〜、どうでしょう?」


 このモヒカン、勘がいいじゃないか!?


「ハッハッハ!お嬢ちゃん、どこから来たのかい?嘘はダメやけ?」


 キタキュウマンは私の顔をじっくり覗き込んで聞いてきた。コスプレの仮面越しだけど、私の目をしっかり見ているのが分かる!


「わ…私は北九州生まれの北九州育ちばい!」


 頼む、キタキュウマンよ、去ってくれ!!


「ハッハッハ!そうか…そうか!疑って悪かった…」


 ふぅ…案外簡単に騙せたよ。今の北九弁は完璧だったでしょ。


「とでも言うと思ったんかちゃ〜〜!!」


 ぎゃ〜〜〜〜!!!!


 やっぱり騙せてないじゃん!!!、


 私は、先程固まって石になってしまった蓮くんを元に戻し、その場から私達は全力疾走で逃げ出した。


 捕まったら成人式で生贄にされる!


 なんとか生きたい!


 その一心だ。


「お前ら待たんかちゃ!追え〜〜!モヒカン達!」


「へい!キタキュウマン様ぁ〜〜!」


 私達は、ただひたすらモヒカン達から逃げた。


 こうしてなんとか、モヒカン達を振り切り、辿り着いた先は、目的の地、小倉こくら


 北九州から脱出できるのも目前だ。


 私は、キタキュウマンからも逃げることに成功したし、ちょっぴり安心していた。


 だけど、私達が北九州で既に賞金首にされていると知ったのは、もう少し後でのお話し。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る