【第3話】 昼時トラブル
腹減ったなぁ…。。購買でも行くか…。
時刻は12時40分、昼時である。
授業の教材を手早く片付け、財布を手にとると三月が話しかけてきた。
「あ、亮、お前飯食わねーのー?」
「ちょいと購買行ってくるから先食っといて」
「あ、なら買えたらなんか飲みもん買ってきてくれぇー!」
「あいよっ!金は後でな!」
お使いを二つ返事で受けお腹もくっつきそうなため、少々早足で廊下を駆けぬける。
しかし、曲がり角に差し掛かった時だった。
─っと
「きゃっ」
「うおっ…あぶなかっ……がはっ」
なんとか角から顔を出した少女は避けきったものの、避けた反動で柱に顔面から激突してしまった。
くそ…めちゃ痛い。。。
鼻が折れたのではないかと思われるほどの激痛に耐えながら少女の方を見るとまだ彼女は震えていた。
とりあえず声をかけてみる。
「あの…ごめん、大丈夫?」
「あ…え…は、はい!って…亮くん?」
「あ、もしかして…瑠衣先輩…?」
目に涙を浮かべて見つめてくる彼女は
先輩ではあるが小柄で内気な彼女は我が文芸部の癒し的存在である。うん、可愛い。
しかし最近は少し時期的に早いのではないだろうかインフルエンザに蝕まれしばらく学校を休んでいたため、実際会うのは久々であった。
「風邪、治ったんですね…良かった」
「うん、なんとか。早く皆と会いたくて退屈だったよ」
髪の毛を弄りながら話しかけてくる彼女は見るだけで癒される。可愛い。
「にしても…髪切ったんですね。最初わかんなかったです」
「あまりにも暇でね…えへへ」
髪型は長髪からボブに変わっており前も中々なものだったが今はそれも相まってかなりふわっとした印象になっているのだった。
「似合いますよ。可愛い」
「あ、ありがと…」
あぁ、やはり顔を赤らめても可愛い…。。
そんな時だった。
「いっったぁっっ」
後頭部に何かが飛んできたのである。
大きな衝撃が響きあまりの痛さにしゃがみこみつつ後ろを振り向くと、そこには殺意MAXの眼光を光らせた1人の女子生徒が立っていた。
「ったく…ようやく病気が治ったっていうのにお前はまた病院に送らせる気か!」
不良のように掴みかかってきたこの先輩こそが、我が文芸部部長─
一体何故こんな暴力的な先輩が静かそうなイメージの文芸部の部長をやっているのは全くもって謎であるが、過去に何かがあって入部したらしいと聞いた。
しかし中学時代はさらにやんちゃしてたらしく喧嘩はバカ強いらしい…。
なんでも、鬼のような強さから『鬼神』の異名で恐れられたらしい。。
しかし、1度彼女が読んでいた本を手にする機会があったのだが、タイトルに目をやると[秘密のボーイフレンド]というBL小説であり、意外とかなりの腐女子なのかもしれない。
まぁ、しかし。怖い先輩である。
「じ、自分の不注意です…すみません…」
「心、大丈夫だよ…りょ、亮くん大丈夫…?」
「だ、大丈夫…ごめんなさい…」
「いいよいいよ、気にしないで」
「ったく…仕方ねぇな…瑠衣に怪我がないならまあ、許してやるよ」
こんな鬼と天使のような2人だがとても息が会うらしくよく一緒にいる。誠に不思議である。
なんとか立ち上がり廊下の時計に目をやると時刻は昼休みの半分を超えていた。
「あ、もうこんな時間…じゃあね、亮くん!」
「はい、また部活でー!」
まだヒリヒリしている後頭部を擦りながら2人と別れ、歩き出す。
とりあえず…なんとしても昼飯は手に入れよう…。
また激突しそうになるのを避けるために次の角は慎重に曲がったのだった。
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