第22話 リミテッド∞
「父さん」
「どうした冬樹?」
「明日、あいてる?」
「明日か・・・休みだな・・・」
俺は安堵のため息をした・・
「父さんに会わせたい人がいるんだ」
「なんだ?彼女か?」
「・・・まあ、そんなとこ・・・」
「そうか、ようやく出来たか、どんな人なんだ?」
「父さんも知ってる人だよ、彼女も会いたいと言ってる」
「わかった、明日だな」
ダイヤに会った時、父さんはどんな顔をするだろう・・・
翌日、俺は父さんを児童公園に連れて行った。
「ここで会うのか?」
「ああ、今呼ぶから、待っててくれ」
俺は、北に5回手を叩いた。
「冬樹・・・お前まさか・・・」
「そのまさかだよ、父さん」
すると、ダイヤが現れた。
「志樹、久しぶりだね」
「ダイヤ・・・ダイヤなのか?本当に?」
「そうだよ、志樹、立派になったね」
「お前は、変わらないな。」
「私は精霊だからね。ずっと見てたよ」
「そっか・・・」
久しぶりに話したいだろう。
俺は席を外した。
昔話に、花を咲かせているのがわかった・・・
程なくして、父さんが戻ってきた。
ダイヤは、こっちを見ている。
最後の時が来たのか・・・
「冬樹、いいか?」
「ああ」
「父さんたちが、どうしてお前たちをあそこに通わせたのかわかるか?」
「さあ、わからない」
「人生について、ゆっくり考えてもらうためだ」
「人生について?」
「ああ」
父さんは、いつになく真剣だ。
「受験となると、目の先の事を考えて余裕がなくなる。
大学までストレートのところに行かせれば、余裕ができる。
そのためだ。
決して、遊ばせるためではないんだぞ」
「父さん・・・」
「ダイヤから、訊いたよ。お前は、見つけたんだな。自分の道を」
「ああ」
「なら、止めない。父さんは応援するぞ。それと・・・」
「私もね」
ダイヤが話に入ってきた。
「ダイヤ、冬樹が世話になったな」
「うん、でもさすが志樹の子供だね。そっくりだよ」
「そうだったのか?」
俺は父さんを見る。
父さんは、照れくさそうにしている。
「冬樹」
「ダイヤ」
「早いけど、お別れだね」
「ああ、ありがとう」
悪戯っぽく笑う。
「でも、さよならじゃないんだな」
「どういうことだ?」
俺は父さんを見る。
父さんは笑ってる。
「『2月まで彼氏になりなさい』そういったよね」
「ああ」
「彼氏としてはね」
「つまり?」
「鈍いな。3月からは、妻ってこと」
「なんですと!」
俺は驚いた。
「でも、ダイヤ、お前は精霊で、風で、春が来れば・・・」
「精霊のままならね」
「まあ」
「うん、人間に転生するわ」
「転生って・・・」
「志樹いいよね、冬樹もらっても」
父さんは頷く。
「精霊の神よ!わがダイヤは、本日を持ち、人間へ転生します。
許可を願います」
そんなんで、なれるのか?
その瞬間、ダイヤの姿が、今時の女子高生見たいになった。
「もう、私は人間だよ。そして、冬樹の奥さん」
「ダイヤ・・・」
「うわあ、人間って、こんなに寒さを感じるんだね」
「でも、いいのか?ダイヤ」
「うん、私はこれまでは君に恋をしていたけど、愛してしまったの」
「後悔しないか?」
「うん、君のお母さん、つまり、志樹の奥さんも、元は先代の秋の精霊だもん。
千秋は、志樹が付けた名前」
「じゃあ、ダイヤは?」
「振られた」
俺は父さんを睨みつける。
父さんは、頭をかいている。
「ダイヤ・・・」
「私はもう、ダイヤじゃないわ。名前は君がつけて、冬樹」
「俺が?」
「うん、でも可愛いのにしないと、怒るよ」
俺は考えた。
冬の精霊だから、冬にちなんだ物がいいだろう。
俺は、考えて名前をつけた。
「エリカ・・・エリカなんて、どうだ」
「ありがとう、素敵な名前だよ。よろしくね冬樹」
「よろしく、ダイヤ改め、エリカ」
手を握る。
今度は、とても温かい。
ウィンター・パラダイス 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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