第21話 精霊のお仕事
「冬樹」
「えっ」
「私たち精霊は、自分に似た人に惹かれるの。
そして、その人の力になりたいと思うの」
「力に?」
ダイヤは続けた。
「私は風。気の向くままに旅をする。
そして、君を見つけた。
その時、思ったの、『この子は、私と同じだ』って・・・」
「同じ?」
「だから、どうしても力になりたかった。今度はこの子だって・・・」
「今度は?」
ダイヤは続けた。
「正直に話すと、私が期間限定で彼になってもらったのは、
君がはじめてじゃないの。
毎年ではないけど、冬になると、新しい彼氏を作る。
でも、そこからしばらくは、見守るの。そして・・・」
「そして?」
「この人は、もう私がいなくても大丈夫だと思った時が、お別れの時」
言いたいことはあった・・・でも・・・
素直になってしまう・・・
「いつもは、2月なんどね。君は思ってたよりも、素敵だったね」
「えっ」
「もう気付いてるんでしょ?自分のやりたい事」
「それは・・・」
「彼女の眼は、ごまかされないわよ」
俺は頷いた。
「以前に、私が選んだ相手は、みんな立派になっている。
だから、君も立派になれるわよ」
「その前の、人は誰なんだ?」
思わず、訊いてしまった。
「わからない?君のお父さんよ」
「父さん?」
父さんも、悩んでたのか・・・
「だからきっと、君の事をわかってくれる」
「ダイヤ」
「話してごらん。お父さん・・・いいや、志樹に・・・」
「わかったよ」
ダイヤは、エールを送ってくれた。
「そうだ、冬樹」
「何?」
「久しぶりに会いたいな、志樹に・・・会わせてくれる?」
「ああ、話してみるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます