第20話 本当の理由

「迷ってるんだね」

「ああ」

「話してみて?」

「ダイヤ?」

「私は君の彼女だよ、彼氏の話くらいは訊いてあげる」

普段なら、おせっかいと思うだろう。


でも、何故か甘えてみたくなった。

俺は、ダイヤに胸の内を話した。


ダイヤは、何も言わずに聞いてくれた。


「冬樹、それって普通の事だよ」

「普通」

「人間誰しも、生きていたら迷ったり悩んだりする。

そして、そのたびに越えようと努力する。

そして、成長していくんだよ」

「成長?」

「うん、私がなぜ、冬樹を彼氏にしたかわかる?」

「冬が好きだからだろ?」

「本当にそう思う?」

「ああ」

「あきれた・・・」

ダイヤは、怒っていた。


「いい冬樹、本当は最後の日に話すつもりだったけど」

「けど?」

「今、明かすわ、私の正体を」

「正体?」

すると、ダイヤは消えた。


「ダイヤ?」

「冬樹、北に向かって手を5回叩いて」

「ああ」

俺は言われるままにそうした。


すると、ダイヤが現れた。

「わかった?私の正体」

「もしかして・・・風?」

「うん、私は風、北風の精霊なの。だから普段は風となって、さまよっているの」

「じゃあ、北に向かって手を5回たたくのは?」

「北は北風。5回は私への合図」

「でも、手を握ったり、腕を組んだり、その・・・唇を・・・」

ダイヤは、笑った。


「そんなの、出来るに決まってるじゃない。」

「えっ?」

「彼女は、彼氏のためなら何だって出来るのよ」

不思議な子だ・・・


「冬樹?」

「何?」

「さっきの事、教えてあげる」

「えっ」


「私が君を選んだ本当の理由」





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