第19話 つなぐもの

冬休みがもうじき終わる。

ダイヤとも何度か会った。

彼女とは、どこへも連れていけない。


遊園地にも映画館にも・・・

ただ、話すだけだった。

でも、俺は満足だった。

それだけで・・・


冬休みが終わり、始業式が始まる。

いつもと変わらない面々。

もう、殆どがストレートで上の大学に進学するので、余裕である。


でも、俺は悩んでいた。

このままでいいのかと・・・


確かに親の引いたレールが一番安全だという意見もある。

でも、もしそのレールが途切れた時は、自力で何とかしないといけない。


世間は、冷たいのだ。

特に俺のような、ぼっちには・・・


今日は始業式だけなので、早く終わる。

クラスメイトは、おのおの遊びに行くみたいだ。


俺はそれを横目に、外へ出た。

すると、担任に呼びとめられた。


「この間、提出してもらった、進路希望だが・・・」

やはり、この話か・・・

「他のみんなは、上へ行くとある。」

「でしょうね」

「だが、お前は第3志望に「上へ」と書き。1と2は空白だ。なぜだ」

「考えてみたいんです」

「早くしないと間に合わないぞ。もし上へ行かないのなら、何でここにきた」

やはり、どやされるか・・・


「近日中に返答します」

俺はそう言って、席を立ち進路指導室を出た。


担任が何か言っていたようだが、俺は知らん。


しばらくして、児童公園に来た。

よくダイヤと話した公園に・・・


「入ってみるか・・・」

俺は公園の中に、足を踏み入れた。


「冬樹、来るとおもったよ」

「ダイヤ」

「待ってたんだ」

その言葉の意味するものは何か・・・

答えが出るのに時間は、かからなかった。





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