第17話 年越し

大晦日。

神社に、初詣に2年まいりをする人。

年越しそばを食べながら、テレビを見る人。


過ごし方が、さまざま。


ネットが普及してからは、顔の知らない誰かと、

年を越す人もいる。


俺は、家にいる。


両親は年末からふたりで慰安旅行。

姉ちゃんと、彼氏と、

夏江は、お友達と初詣。


俺は、おこたでぼーっとしている。

(一か月、疲れたな・・・)


ダイヤの事を思い返していた。

  「2月まで、私の恋人になりなさい」


ダイヤ・・・

どこにいるんだ?


外へ出た。

さすがに寒い。

羽織ってきてよかった。


北は・・・こっちか・・・

手を5回叩く。


「冬樹、大晦日はどう?」

「ひとりだよ。ダイヤ」

「ご家族は?」

「お出かけ」

「冬樹は?」

「見ての通りだよ」

「ごめんごめん」

相変わらずの格好・・・


「ここが、冬樹の家なんだね」

「まあな」

「なかなか、奇麗だね」

「まだ、新築だからね」

中に入れよとしてやめた。

ダイヤは、家の中には入れない精霊だった。


「それより、冬樹どうしたの?」

「いや・・・その・・・一緒に年を越してほしいなと・・・」

「私、中には・・・」

「覚えているよ、だからここで・・・」

「寒くない?」

「言ったろ、寒いのは好きだ」

「本当に、私で言いの、冬樹」

少し申し訳なさそうな表情をするダイヤ。


「ああ、除夜の鐘も聞えるし」

「冬樹いいよ。じゃあいっしょに過ごそう」


女の子とふたりきりでの、初めての年越し。

年が明けたら、2月末には、契約?が切れる。


次の冬も、会えるだろうか・・・





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