第16話  素敵な贈り物

「冬樹、どこへ行くの?」

「高台だよ。この公園の」

「高台?」

「ああ、夜景が奇麗だよ」

ダイヤを連れて、高台に登る。


「ダイヤ、見てごらん。この町を」

「凄い」

町は、灯りで照らされていた。

イルミテーションのような、その日のために作られたものでは無い。


この町で生活する人、全ての普段の生活の灯りだ。


「ここは、俺が一番好きな場所なんだ」

「冬樹の?」

「もう気付いていると思うが、俺はぼっちだ。

なので、ここをでてやり直したく思う時がある」

「思う時?」

「そんな時ここにくる。そして、この灯りを見る。

すると、人々の優しさを感じる。

そして、また頑張ろうと、思えるんだ」

らしくない事を言っていると思う。

でも、本心を伝えた。


「冬樹・・・ありがとう・・・

素敵なプレゼントだよ。私、この風景忘れない」

「ダイヤ・・・」

「次はわたしからね」

「ダイヤから」


「モンド、お願い」

すると、俺の周りだけ、雪が降り出した。

すごく冷たい。

でも、寒さは感じない。


「冬樹、その雪よくみて」

俺は手のひらに、雪を乗せてみてみる。


結晶のままだ。

「ダイヤモンドダスト?」


「うん、この地方の気温じゃどんなに寒くてもみれないんだけどね。

私からは、これしかできない・・・」

「ダイヤ」

「あは、でもこれは、雪の精霊のモンドのおかげだね」

「モンドさん?あのアラスカにいたという」

「特別に来てもらったんだ」

ダイヤは、照れくさそうに微笑む。


「でも、これはモンドの力だから、私からもプレゼントしないとね」

「プレゼント?」


ダイヤはそういうと、唇を重ねてきた。

そして、耳元で、「メリークリスマス」


そういうと、いつの間にかいなくなっていた。


ただ、最後に声がした。

「冬樹、またね」



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