第14話 聖なる夜のその前に・・・

クリスマスイブ

両親は今日もお仕事で大変だが、夜には夫婦水入らずでレストランでお食事。

仕事帰りに直接向かうらしい。


姉ちゃんは、朝から1日中、彼氏さんとデート。

その彼氏さんには何度かお会いしているが、とても優しそうな人だ。

なので、姉ちゃんの本性を知った時の、彼氏さんが心配だ。


「結婚しても、愛してあげて下さい」

いつも、思う。


妹は、イブだと言うのにクラブ活動をしていて、帰りにパーティーをやるらしい。

女の子だけの、パーティーだ。


「妹よ!お前こそ、彼氏を作れ」


「私は、お姉ちゃんみたいに、妥協したくないの」

「うわ、夏江、どこから湧いて出た」

「お兄ちゃん、人を幽霊みたいに言わないでよね」

「お前、その発言は、あまりに失礼だろ」

「いいのよ。私は、いつまでもタイプの人が現れるの待つから・・・」

「で、そのタイプというのは?」

「身長180センチは欲しいわね。顔はジャニーズ系。中肉中背で、足は長い。

頭が良くて、スポーツ万能で、年収は1500万円以上で、それを全て私に預ける。

家事全般が出来て、優しくてお笑いのセンスが合って・・・・」

きりがない。


「わかったもういい」

「そう?これからなのに・・・」

「で、お前は過去に何人と付き合った」

「男の子はみんな離れて行くわ。見る目がないのね」

だめだ、こいつ、一生結婚出来ん。


俺は、慌てて飛び出した。


えーと、ダイヤとのデートの場所は決めた。

少し歩くが、大きな公園がある。

そこにしよう。


プレゼントは・・・


大きな公園に着いた。

深呼吸する。


北へ向かって、手を5回叩いた。

「冬樹、メリークリスマス」

「メリークリスマス、ダイヤ」

「今日は、よろしくね。冬樹」

「こちらこそ」

何だか照れくさい。


「普段着だね、冬樹」

「これでいいって言ったろ?人の事言えるかよ」

「ハハハ、エスコートよろしくね」


ダイヤは精霊、誰もいないところがいいだろう。

俺の頭では、ここしか思いつかなかった。


普段は人でごった返すが、今日はまばら。


もってこいの場所だ。




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