第9話 似た者姉妹

帰宅した。

午後7時を回っていた。


彼氏なら、彼女を送るのはマナーだろう。

だが、ダイヤはどこに住んでいるのかを、知られたくないらしい。

なので、途中までとなったのだが・・・


   「冬樹、彼氏なら彼女を送りなさい」

   「あっ、ここでいいよ。今日はありがとう。またね」


まあ、ダイヤは精霊だし、他の人には見えないので、襲われる心配はないが・・・

しかし、気になるのは、彼氏心なのか・・・

(まるで、保護者だな・・・)


「ただいま」

「お兄ちゃん、どこ行ってたの?」

妹の夏江に、怒鳴られた。


「夏江、どうした?」

「どうしたじゃないよ。今日の晩飯当番、お兄ちゃんだよ」

「そうだったか?」

「そうだよ、ほら」

夏江は、カレンダーを指差す。


確かに、俺になっている。


「すまない。すぐ作る」

俺は用意した。

「また、鍋?」

「冬は鍋だ」

「他のも作ってよ」

「腹減ってんだろ、我慢しろ」

姉ちゃんは、バイトのようだ。

両親もいない。


朝食と違い、夕食は妹とふたりで食べる事が多い。

「お兄ちゃん」

「どうした?」

「彼女、出来たでしょ」

俺はむせた。

いきなり何を言い出す?


「お前は、俺がどういうタイプか知ってるだろ!

彼女なんて、出来ないよ」

「わからいよ。マニアもいるからね」

「どういう、意味だ」

「まあ、とにかく今度会わせてね。お兄ちゃんのお嫁にふさわしいか、見てあげる」

「だから、いないってば」

「お兄ちゃん、妹をなめないでね」

姉ちゃんといい、夏江といい、同じ事をいう。


さすが姉妹。


「今朝、姉ちゃんにも、同じ事言われたよ」

「お姉ちゃんに?」

「ああ」

「やはり、血は争えないね」


ああ、男兄弟が欲しい・・・

悪い意味で泣く・・・


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