第4話 リミテッド

「で、ダイヤはどこで生活するんだ?」

「私?」

「まさか、俺んちに来るとか?」

そうなれば、やばい。


「そんなこと、しないよ。」

「本当に?」

「家の中は、暖かいでしょ?」

「まあ」

確かに暖房設備はあるが・・・


「私、冬の精霊だから、暑いのはだめなんだ」

「消えるのか?」

「消えはしないけど・・・」

なにかわけありだが、訊かないほうがいいだろう。

ダイヤが、話してくれるのを待つか・・・


「ありがとう。冬樹」

俺の心の内が、わかったようだ。


「で、どこで生活するんだ?」

「大丈夫、いい場所見つけたから」

「いい場所?」

「エヘヘ」

ダイヤは、笑うだけだった。


「精霊界には、帰らないのか?」

「春まで帰れないよ」

「でも、誰かに見られたら、どうするんだ?」

確かに、見た目は普通の女の子。

補導されかねない・


「それは大丈夫だよ」

「どうして?」

「私の姿は、君にしか見えないから」

そっか・・・それなら安心・・・って、

今の俺、危なく見られてないか?


「大丈夫だよ、周りを見て」

俺は辺りを見渡す。

誰もいない。


「私が君と会う時は、必ずふたりきりだから」

「どうして?」

「だって・・・」

「だって?」

「恋人との仲を、誰にも邪魔させない」

いきなり、女の子になってないか?

いや、女の子なんんだろうけど・・・


「・・・って、私らしくなかったね。とにかくよろしくね。冬樹」

「こちらこそ」


「冬樹」

「何?」

「私の事は大丈夫だよ。何かあったら言うから、彼氏なんだから、彼女を助けてね」

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